2024年 4月 20日 (土)

【SDGs実践編】「三井ダイレクト損保スマイル基金」が繋いだ「お客様との絆」 これまでに20万人が参加、寄付金は累計2000万円突破

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   ウェブや電話などの直販チャネルで自動車保険を販売する三井ダイレクト損害保険。2014年7月に「お客様参加型」の社会貢献活動プログラム「三井ダイレクト損保スマイル基金」を創設し、お客様ニーズに応えて見直しを加えてきた。

   「この基金の運営で得た『気づき』が、会社のマーケティング活動にも好影響を与えている」――。そう話すのは、このプログラムを担当するマーケティング部マネージャーの大塚 浩さん。基金の立ち上げから現在の状況、今後の展望について聞いた。

  • 「三井ダイレクト損保スマイル基金」を担当する大塚浩さんに話を聞いた
    「三井ダイレクト損保スマイル基金」を担当する大塚浩さんに話を聞いた
  • 「三井ダイレクト損保スマイル基金」を担当する大塚浩さんに話を聞いた

「無事故なら社会や地球にやさしい」がコンセプト

―― 2014年7月に「三井ダイレクト損保スマイル基金」を創設されたとのことですが、この基金はどのようなものでしょうか。立ち上げの経緯について教えてください。

大塚浩さん「当社は、自動車事故に遭った際に、保険金のお支払いとそれに付随するサービスでお客様をサポートする、損害保険会社です。会社の創立から15周年を迎えた2014年の節目に、安全運転の意識向上を図ることで、より広く社会に貢献したいという思いで『三井ダイレクト損保スマイル基金』を創設しました。基金の運営にあたっては、当時会社で掲げていた『無事故』と『エコロジー』を組み合わせた『ムジコロジー』というコンセプトを取り入れました。無事故ならお客様だけでなく、社会全体や地球環境などにも良い効果を与えていく(=エコロジー)という考え方です。
具体的には、当社が寄付先として選んだ3つ(交通事故防止=日本カーシェアリング協会、環境保護=JUON NETWORK、災害からの復興支援=中央共同募金会)のNPO法人の中から、お客様ご自身で寄付先を投票いただき、寄付の割合が決まるという参加型のプログラムにしました。
さらに、お客様が無事故だった場合や契約年数の長さなどに応じて係数をかけて、投票したNPOへの寄付割合を増やせるように設計しました。無事故ならお客様も当社もハッピー、寄付先のNPOも寄付割合が増えてハッピーで『三方よし』のプログラムになったと思います」
大塚さんは「お客様、寄付先、当社の『三方よし』の社会貢献の仕組み」という
大塚さんは「お客様、寄付先、当社の『三方よし』の社会貢献の仕組み」という

―― その後の基金の歩みはいかがでしたか?

大塚さん「おかげさまで、昨年度(2019年度)までの累計投票参加者数は20万人、寄付総額が2000万円を超えました。ご参加いただいたお客様からはとても好評でしたが、一方で『計算方法などがわかりにくい』『契約実績を基に計算するため、最終的に寄付金額が確定するのが1年後になってしまう』などの意見もありました。残念ながら参加いただけないお客様も依然として多く、当社としては参加率をあげることが課題でした。そこで、2018年から19年にかけて、システムや制度の見直しを図りました。 まず2018年に、投票する際の専用サイトを、ログインの手続きが要らないオープンなサイトに移行。そして、2019年には係数を使った複雑な計算式をやめ、お客様にクリックいただいた数が寄付割合となるよう変更しました。さらには、年間の寄付総額もわかりやすい321(みつい)万円に統一し、投票数に応じて321万円を案分することにしました。こうした施策を段階的に取り入れたことで、2018年度以降、それ以前の年間投票数の5倍以上の数にまで大きく成長することができました」

   ※ 見直し前は、321(みつい)万円か、当社利益の1%のいずれか高い金額を寄付金額に設定していた。

   ※ SDGsの17の目標のゴールと3つの分野の関係
   交通事故の防止=目標の「11.住み続けられるまちづくりを」「12.つくる責任、つかう責任」に寄与
   環境保護=目標の「13.気候変動対策」「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさを守ろう」に寄与
   復興支援=目標の「11.住み続けられるまちづくりを」に寄与

「来年も応援していこう」という気持ちが継続率を支える

―― このプログラムを続ける中で、大きな発見があったそうですね。

大塚さん「データをとり続けていくうちに段々とわかってきたことがあります。それは、このプログラムに参加いただいているお客様とそうでないお客様のあいだの自動車保険の継続率に大きな差があり、参加しているお客様の継続率のほうが10%ほど高いことがわかりました。マーケティングの観点から見ると、この10%はとても大きな違いなんです。おそらく、『社会貢献に繋がる自動車保険なら、継続しよう』と多くのお客様にご賛同いただけたことが大きいと感じています。
試行錯誤を続ける中で、お客様との最適な接点もわかってきました。それは自動車保険の更新手続きを完了した直後のタイミングでの、お客様への訴求が最も効果的だということです。社会貢献プログラムだけでなく、当社の毎月のロイヤルティープログラム『三井ダイレクト損保の日』のプロモーションにも、このタイミングを活用することで、参加者を増やすことができています。基金の取り組みで得た『気づき』を、ビジネスのマーケティング活動にも活かすことができ、とても貴重な収穫でした」
大塚さんは「スマイル基金に参加しているお客様の継続率のほうが10%ほど高いんです」と語る
大塚さんは「スマイル基金に参加しているお客様の継続率のほうが10%ほど高いんです」と語る

―― 今後の基金への取り組みについて、方向性を教えてください。

大塚さん「できる施策や見直しは、その都度導入してきたので、すぐに何か大きな取り組みをすることは予定していません。このプログラムは、保険商品よりも前面に出すようなものではなく、お客様に『保険に加入したから、社会貢献にも繋がる』といった参加意識をもってもらい、当社のファンになっていただくという取り組みです。お客様との適切な距離感を保ちながら訴求を続けて、ひとりでも多くのお客様に、この社会貢献プログラムに参加してもらえたら、うれしいです。そうすることで良い社会になり、ひいては当社にも相乗効果がもたらされると思っています」

(聞き手 戸川明美)

【三井ダイレクト損保スマイル基金の概要】
「ワンクリックで、あの人が笑顔に」をキャッチフレーズに、三井ダイレクト損保の契約者と一緒に作り上げる、新しい発想の社会貢献の仕組み。交通事故防止や環境保護、災害からの復興支援の三井ダイレクト損保が掲げるSDGsの取り組みに即した3分野の支援活動に寄付金を分配する。
   契約者による寄付金の負担はなく、ワンクリックで気軽に社会貢献できるのが特徴。契約者は三井ダイレクト損害保険が支援している活動のうち、特に応援したい活動に投票。毎年3月末時点の各活動の投票割合に応じて寄付金総額(321(みつい)万円)を、各活動を支援するNPO法人に分配する。    これまでの寄付金総額は2135万円、投票者数約20万人(2020年3月現在)。

プロフィール
大塚 浩
(三井ダイレクト損害保険 マーケティング部マネージャー)
2004年三井住友海上火災保険株式会社入社。営業企画部 営業IT推進室で、若者向けの「1DAY保険」やコンビニエンスストアのマルチコピー機を活用した保険販売など、インターネットを活用した保険募集システム開発に携わった。現在、三井ダイレクト損害保険株式会社に出向。マーケティング分野でファンづくりに貢献している。

SDGsの17のゴール
SDGsの17のゴール
清水一守(しみず・かずもり)
清水一守(しみず・かずもり)
一般社団法人SDGs大学 代表理事/公益財団法人日本ユネスコ協会連盟・ユネスコクラブ日本ライン 事務局長/英国CMIサスティナビリティ(CSR)プラクティショナー資格/相続診断士
日本大学文理学部を卒業。大学では体育を専攻。卒業後、家業である食品販売店を継ぐも新聞販売店に経営転換。地域のまちづくりとして中山道赤坂宿のブランド化を推進した。その後CSR(企業の社会的責任)の重要性を学び、2018年7月から名城大学で「東海SDGsプラットフォーム」として月2回の勉強会を開催中。SDGsを広めるための学びの場として2019年9月に一般社団法人SDGs大学を開校。現在、SDGs認定資格講座やSDGsイベントなどを開催中。
岐阜県出身、1960年生まれ。
一般社団法人SDGs大学
SDGsを広めるために、誰もが伝道師となるような認定資格講座を3段階で設定。SDGsを学ぶきっかけの資格としてSDGsカタリストから始まり、その上位資格としてのアドバイザー資格、さらにカタリストを育成するカタリストトレーナー資格を設け、2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsを他人事ではなく、『ジブンゴト』としてとらえ、実践していけるようにSDGsの研究・周知・教育を行っています。校訓として学び・実践・達成・及人を掲げ、物心両面の幸せを追求し、真の『自分ごと』を探求できる学びの『場』として、誰もが参加ができるインラインによる「SDGs大学プラットフォーム」、「SDGsキャンプ」などのセミナー、イベントを提供しています。
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