「100万円以上もする高級腕時計が、ナント2万円で！」そんなうまい話、あり得ないでしょう......と、普通は思うが、詐欺師の仕掛けは手が込んでいる。有名百貨店の名前をかたらい、しかも免税店が閉店するため、大量の在庫処分が必要になったから、というのだ。コロリとだまされる人が多いため、国民生活センターは2021年11月25日、「百貨店の名称をかたる偽通販サイトにご注意ください！－「高島屋」などの大手百貨店がかたられています」と、注意を呼びかけた。免税店の閉店セールで海外ブランドを大放出！高島屋の名前をかたった偽通販サイト（写真は加工済み、国民生活センター）国民生活センターによると、日本橋高島屋など全国の有名百貨店をかたった偽通販サイト詐欺＝左の写真参照＝の被害は、今年に入って急増。9月末時点で約800件に達している。こんな事例が多い。【事例1】「28万円のバッグが2万円！」に騙されて注文してしまったスマートフォンのSNSで、有名百貨店の免税店の閉店セールで海外ブランドバッグが在庫処分という広告を見つけた。広告をタップすると、多くのバッグが販売されており、百貨店のロゴマークがある通販サイトに切り替わった。その中から、約28万円のトートバッグが送料込みで約2万円に大幅な値下げがされていたので、購入することにした。氏名、住所、電話番号、メールアドレスを入力し、申し込みボタンを押すと、確認画面がなくそのまま注文完了になった。支払いは代金引換のみだった。その後、娘に相談し、大手百貨店をかたった偽通販サイトとわかった。キャンセルしたいが、申し込み完了メールが届いていないため連絡先もわからない。（2021年6月、50歳代男性）【事例2】「高級バッグが14分の1の値段」なので注文したが、偽通販サイトだったSNSで、「百貨店の免税店が6か月前に閉店し在庫を倉庫に預けていたが、倉庫の期限が切れるので格安でセールをする」という広告を見つけた。広告をタップして通販サイトにアクセスすると、定価約28万円の海外有名ブランドのバッグが約2万円で売られていた。通販サイトには百貨店のロゴマークが表示されていたので信用して、氏名、住所、電話番号、メールアドレスを入力して注文した。支払い方法は代金引換しか選択できなかった。7日以内であれば返品可能と記載されていた気がする。注文後に、注文完了メールが届かなかったため不審に思い、その百貨店のホームページを確認すると、偽通販サイトの注意喚起がされていた。どうしたらよいか。（2021年9月、60歳代女性）代金を支払ったら、もう後の祭り詐欺師にひっかかってはダメ（写真はイメージ）【事例3】100万円以上もする高級腕時計と思って注文したら動かない時計が届いたインターネットを閲覧中、大手百貨店の大型免税店が閉店するにあたり、高級腕時計が在庫処分として格安で売り出されるという広告を見つけ、通販サイトにアクセスした。100万円以上もする高級腕時計が2万9000円で載っており、大手百貨店なので信用して注文した。その後、商品が代金引換で届き、宅配業者に代金を支払って受け取り、商品を確認すると、時計は動かず、偽物であることがわかった。よく考えると、高級腕時計が数万円で購入できるわけがないと思う。返金してもらえないか。（2021年9月、80歳代男性）こうした偽通販サイトに共通しているのは次の点だ。（1）偽通販サイトには百貨店のロゴマークや名称が掲載されている。（2）百貨店の免税店などが閉店することを理由に高級ブランドのバッグや時計を80～90％OFFなどの大幅な割引価格で販売するとうたっている。（3）支払い方法が代金引換だけしかない場合が多い。商品が届いても偽物であることがほとんどだ。国民生活センターでは、こうアドバイスしている。「百貨店が通販サイトで高級ブランド品を大幅な値引きで販売することは通常はありません。百貨店のロゴマークや名称が掲載されていても偽通販サイトの可能性があります。特に代金引換に限るとあるのは要注意。商品を注文する前に百貨店のホームページで確認しましょう。代金引換で宅配業者に代金を支払い、商品を受け取ってしまうと、偽物だとわかっても宅配業者からの返金は困難です」（福田和郎）
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