30歳以上は関係ねぇ!? 「恋空」が大ヒットしたワケ

印刷

   ガッキーこと新垣結衣さんが主演した映画「恋空」が大ヒットしている。2007年11月3日の公開から5週間で興行収入は32億円、動員数は260万人を超えた。女子中高生を中心とした若い女性が映画館に押し寄せる「恋空現象」が起きている。だが、ネットの映画サイトや映画通の評判は決していいわけではない。そんな映画がなぜヒットするのか?

モバゲーでは「号泣」「泣けた」のカキコミ続々

「恋空」は高校生の美嘉(新垣結衣)とヒロ(三浦春馬)の切ないラブストーリーだ
「恋空」は高校生の美嘉(新垣結衣)とヒロ(三浦春馬)の切ないラブストーリーだ

   「恋空」は人気ケータイ小説を原作とする恋愛映画。ごく普通の女子高校生がレイプ、妊娠、流産、そして恋人の悲劇というショッキングな出来事に次々と見舞われながらも、それを乗り越えて成長していく姿を描いた。

   映画が11月3日に公開されると、週末は入場できない劇場やパンフレットが売り切れになる劇場が続出した。11月13日付と20日付の興行成績ランキングでは、大作「ALWAYS 続・三丁目の夕日」を抑えて2週連続で1位に。その後も2位をキープしている。ネットでの注目度も高く、ポータルサイト「インフォシーク」の検索ワードランキング・エンタメ部門で6週連続1位を記録中だ。

   10代のユーザーが多いケータイサイト「モバゲータウン」の日記にも連日、映画を見た感想が書き込まれている。その多くは、「マヂ泣けたァ」「ちょ~号泣だよねぇ」「感動ですやン うちもあンな恋したい!!」といった"絶賛系"のカキコミだ。

   このような「恋空現象」を巻き起こしているのは、主人公と同じ世代の女子中高生たちだ。学校帰りや休日に、友達同士かカップルで見にくるケースが多い。「1回見た子が友達を誘って、また来るということも多いようです。映画の感想をケータイで伝えあって盛り上がっているみたいですね」(配給元の東宝宣伝部)。

「一滴も涙出ず」Yahoo!レビューの批判

「Yahoo!映画」のユーザーレビューの平均点は2.13。ネットでの評価が低かった「ゲド戦記」(06年)の2.36を下回っている(07年12月12日現在)
「Yahoo!映画」のユーザーレビューの平均点は2.13。ネットでの評価が低かった「ゲド戦記」(06年)の2.36を下回っている(07年12月12日現在)

   しかし10代から20代前半までの世代には圧倒的な支持を受けている「恋空」も、それ以外の世代の反応は決して良くはない。

   30代以上ではそもそも関心がない人が多い。「恋空、見ました?」。J-CASTのスタッフが同僚や知人など約50人に聞いてみたところ、「見た」という人は一人もいなかった。また、実際に映画を見た人の評価もかなり厳しかったりする。

   代表的な映画情報サイト「Yahoo!映画」のユーザーレビューのコーナーをのぞくと、最低点の1点をつけている人が目立ち、辛口のコメントが並んでいる。

「普段、『泣ける』と言われている映画では大体泣いてしまうのですが・・恋空に関しては一滴たりとも涙が出ませんでした」
「同じ病気の持ち主としてすごく腹が立つ内容でした。病気に対する知識が少なくて、軽く薄く感じました」
「キーワードは、不幸の羅列、美化、薄っぺら、ウソ、幼稚、etc・・・。観ていて、怒りを通り越して呆れてしまいました」

   絶好調の興行成績とのギャップの大きさに驚いてしまうほどなのだ。

「ケータイ小説そのものは否定しませんが、その内容をそのまま映画に持ち込んでしまったのが間違い。状況設定の描写がほとんどなく、人物の描写も浅すぎる。リアリティが全く感じられないんですよね。感動できるかどうかの境目は、人生経験があるかないか。ずばり年齢でしょう。」

と映画ライターの渡まち子さんは指摘する。

「高校生が親近感」持てる新垣結衣

新垣結衣さんは初日の舞台挨拶で感動のあまり涙。等身大の姿勢が同世代の共感を呼んでいる
新垣結衣さんは初日の舞台挨拶で感動のあまり涙。等身大の姿勢が同世代の共感を呼んでいる

   「絶賛」と「酷評」。評価が真っ二つに分かれている感が強い「恋空」だが、大ヒットしているのは事実だ。ごく限られた層にのみにウケている"ニッチな映画"にもかかわらず、興行収入のランキングトップになっている。その理由はどこにあるのか。

「やはり主演の新垣結衣ちゃんの魅力が大きいんでしょうね。高校生の子が親近感を持てる女優さんですし、監督さんも結衣ちゃんの魅力を生かす演出をしていたと思います」

と言うのは、映画のロケ地選びをサポートした大分市ロケーションオフィスの幸重陽子さんだ。新垣さんはドラマやCMで大活躍。最近始めたブログも人気抜群で、若手女優の中では今もっとも勢いがあるといってもよい。

   「恋空はデートムービーとして、ちょうどいい映画だったようです」という東京の映画館「シネマート新宿」のスタッフも「男性にも女性にも好かれている彼女のキャラが良かったんでしょう」と分析する。

「ケータイ小説の力ってすごいなぁ」

大分市文化国際課が作成した「ロケ地ガイド」。無料のパンフレットがオークションサイトに出品され、1860円で落札された
大分市ロケーションオフィスが作成した「ロケ地ガイド」。無料のパンフレットがオークションサイトに出品され、1860円で落札された

   もう一つの大きなヒット要因は、このところ脚光を浴びている「ケータイ小説」の絶大なパワーだ。

   映画の原作である「恋空~切ない恋物語」は、ケータイサイト「魔法のiらんど」に05年12月から掲載された小説だが、中高生を中心に延べ1200万人以上が読んだという超人気作品。06年10月に書籍化されると、発売後1か月で上下巻合わせ100万部を突破し、出版関係者を驚かせた。

   「1200万人のファンがいる小説が原作ですからね・・・もともとの知名度がケタ違いだったので、ヒットするのは間違いないと思っていました」と、映画の中身には批判的な渡さんも語る。

   映画の公開前、宣伝ポスターを作るために東宝の宣伝担当者が東京・渋谷の街頭などでヒアリング調査をしたら、「ほとんどの女子高生が恋空を知っていて、びっくりしました。ケータイ小説の力ってすごいなぁと思いましたね」。

   そのときの調査をもとにして作られたポスターは11月中旬、渋谷駅の構内に張り出された。「ポスターを熱心に見つめる女子高校生の集団を見かけた」という28歳のOLは「わいわいしていて、三十路手前は近づけませんでした」としみじみ話していた。

  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter
コメント・口コミを投稿する
コメント・口コミを入力
ハンドルネーム
コメント・口コミ
   

※誹謗中傷や差別的発言、不愉快にさせるようなコメント・口コミは掲載しない場合があります。
コメント・口コミの掲載基準については、コメント・口コミに関する諸注意をご一読ください。

注目情報PR
追悼

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中