エレファントカシマシの「再出発」 大人の男の色気、にじみ出る

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『STARTING OVER』

『STARTING OVER』
エレファントカシマシ/2008年1月30日発売
UMCK-9194(初回限定盤=DVD付) 3300円/UMCK-1244(通常盤) 3000円
UNIVERSAL SIGMA



   継続は力と言うけれど、継続には思いもかけない力の働きによる紆余曲折や中断、挫折が付きまとい、非常に難しいことではある。時には己の存在そのものが、理不尽な形で打ち消されてしまう場合もある。

   STARTING OVERといえば、ジョン・レノンが1980年に残した名曲のひとつ。音楽シーンから離れ、ショーンの子育てなど主夫業に時間を費やしていたジョンが、音楽シーンに戻ってきた歴史を刻む名曲であり、同時にこのシングルがリリースされたわずか2ヵ月後にジョンが暗殺される という、悲しい歴史を刻む曲でもある。明るい曲調が一層、ジョンを失った喪失感を世界中の音楽ファンに与えた。

   一方で、継続は力、を体現する人もいる。

   再出発という意味のこの「STARTING OVER」をタイトルにしたアルバムを、エレファントカシマシが1月30日にリリースする。エレファントカシマシは、これまでにすでに16枚のアルバムを発表 している。20歳代からの20年間を日本の音楽シーンで走り続け、メンバーもすでに40歳代に突入した。

   少し前まで、少々エキセントリックな印象を与えたエレカシの顔でもある宮本浩次のヴォーカルは、このアルバムではむしろ大人の男の色気となって、前面に出てくる。エキセントリックと 言うよりは、バンドの力、ミュージシャンとしての底力を感じさせるアルバムに。まさに続けることからしか生まれない変化を力に変えている。

   シングルカットされている「俺たちの明日」、「笑顔の未来」はともにエレカシの代表作になるだろう。また、荒井由美(ユーミン)の「翳りゆく部屋」をカヴァーしているのだが、これがまた良い。個人的な感想だが、ひょっとすると荒井由美のオリジナルより良い。

   宮本は、日本を代表するヴォーカリストの一人なのだが、一般的にはその認識の度合いが低かったと思う。だが、このアルバムで、彼のヴォーカリストとしての力は再認識されるだろう。

   大人の時代へと足を踏み入れて、再出発という名のアルバムに相応しいエレカシ第2章の幕が上がる。


【STARTING OVER 収録曲】
1.今はここが真ん中さ!
2.笑顔の未来へ
3.こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい
4.リッスントゥザミュージック
5.まぬけなJohnny
6.さよならパーティー
7.starting over
8.翳りゆく部屋
9.冬の朝
10.俺たちの明日
11.FLYER


◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70〜80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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