京都の隠れた伝統工芸「金網細工」は美しい

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   金網細工は、京都の隠れた伝統工芸だといわれる。下京区寺町通りに店を構える鳥井金網工芸の創業は明治22年。四代目の鳥井幹司さんがつくる金網細工は繊細な美しさがあり、しかも頑丈だ。

大事に長く使うほど「色艶」が深まる

柔らかな銅線をよじり、ひと目ずつ丁寧に編み上げる茶こし。底には菊の花模様、側面は亀甲に編み上げる。
柔らかな銅線をよじり、ひと目ずつ丁寧に編み上げる茶こし。底には菊の花模様、側面は亀甲に編み上げる。

   人気の定番商品は、茶こしと豆腐すくい。他にも、笊(ざる)や焼き網など、台所で活躍するさまざまな日用の道具が店内に並ぶ。

   軟らかな銅線やステンレス線を、折り曲げたり捩(よじ)ったりして編み上げる。銅の焼き網は全体に熱が回るので、魚や餅が綺麗に焼き上がるという。

   また銅は、経年変化で飴色に変わるのが持ち味だ。大事に長く使うほど色艶が深まる。とくに茶こしは、お茶のタンニン成分で自然に黒くなるのが楽しみでもあるのだが、好みもあるので気になるという客にはステンレス製をすすめているそうだ。

   ときには、手持ちの急須に茶こしをあつらえてほしい、という注文もある。サイズばかりでなく、編み目の細かさなど、どんな注文にも応えることができるのは手網みならでは。捩った銅線をほどけば、中網や枠を取り替えて修理することができる。

一つひとつ、手間を惜しまず丁寧につくる

銅製の金網細工。中央2つは豆腐すくいで、円型1890円、角形1470円。下の2つの茶こしはステンレスの中網付き。小1890円、大2100円。
銅製の金網細工。中央2つは豆腐すくいで、円型1890円、角形1470円。下の2つの茶こしはステンレスの中網付き。小1890円、大2100円。

   創業百三十年余り。戦後は機械編みのステンレス網も利用して、商品数はずいぶん増えたそうだ。日用の道具だから、日々変わる客の要望に耳を澄ませる。水切り笊にステンレス製の中網をつけて、ヒエやアワなど雑穀を洗える新商品〈リビング笊の中網付き〉なども生まれた。定番商品であっても、時代とともに変わっている。

   台所や食卓で活躍するものばかりではない。表具用の糊こしや陶芸用の土ふるいなど業務用の道具。大きなものでは神社仏閣の鳥除けの金網まで。しかし鳥井さんは、「日用の小さい道具をつくる方が好きです」という。一つひとつ手仕事の、手間を惜しまず丁寧につくられる金網細工。

住む。表紙
◆住まいと暮らしの雑誌「住む。」 http://www.sumu.jp/
住まいと暮らしに関するいろいろな知恵や工夫が学べる季刊の雑誌。昔から伝わる気候風土に適した知恵、あるいは現代の先端技術などの知識を提供し、ときには、食や衣まで含めて考える。また家から排出されるCO2の量を削減したり、ゴミを減らすことなども考慮した「住まい」を考える。住まいは、暮らしこみの姿であり、生き方の表現。この雑誌では、そうした住まいと暮らしに関わるさまざまな知恵や工夫、そして住まいの本質を「知ること」が愉しめる。発行・泰文館。

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