「未来のクルマ」を定義しよう
「若」対「壮」激論!クルマ談義(3)

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   モノウォッチ編集部の「若」と「壮」がクルマについて熱く議論する「激論!クルマ談義」も3回目。最終回となる今回は「未来のクルマ」がテーマだ。1回2回と同じくコメント大歓迎です。あなたにとって「未来のクルマ」とは、どんなものですか?

「クルマのない社会」は考えられるか?

今回もモノウォッチ編集部の「壮」と「若」が熱い議論を交わした
今回もモノウォッチ編集部の「壮」と「若」が熱い議論を交わした

☆壮   今回は「未来のクルマ」がテーマだけれど、読者のコメントに「環境のことを語るなら車に乗るな」という意見があったね。そこで、クルマのない社会というものをまずは考えてみようか。

★若   難しいですね。成り立たないんじゃないかなぁ。

☆壮   クルマ以前の交通手段は、徒歩か馬車だ。都市の道路は馬糞だらけで、荷物もそんなに運べなかった。1日に何度も配送するコンビニなんか、とても成り立たない。

★若   電車に乗ればいい、と言われても、電車そのものを製造するのにクルマが必要なんです。飛行機や船も同じ。今は移動手段の製造にもクルマが欠かせないんですね。

☆壮   クルマは生活を豊かにする手段として広がってきたけど、最初の定義は「複数の人間と荷物を載せて、素早く移動する」というものだった。戦後まもなく生まれたシトロエン2CVはその最たる例で、「4人が乗れて、50kgのジャガイモを運べて、かご一杯の卵を割ることなく移動できる」いうのが開発目標だった。エンジンは375cc、9馬力だよ。

★若   明確な目標があり、その目標はクルマの定義に合致していたわけですね。

8人乗りのミニバンなんて必要ない!?

大人3人と子ども1人でも実用性は十分(トヨタ「iQ」)
大人3人と子ども1人でも実用性は十分(トヨタ「iQ」)

☆壮   しかし、技術の進歩とともにクルマの定義が変わり、快適さ、速さ、安全性などたくさん加えられた。クルマはどんどん大きく、便利になった。でも、ここらで昔の定義を振り返ってみてもいいんじゃないかな。

★若   現代は目的がないがしろにされています。高級車なんか、快適さを追求する余り、使われることのないスイッチが1つや2つはある、といわれているくらい。

☆壮   複数の人間と荷物を載せて移動する手段であるなら、もっと小さくていいはずだし、出力は100馬力もいらないし、内燃機関を積む必要もないよね。

★若   60馬力すら必要ありません。クルマって実はとんでもないものなんです。重さ1トン以上の鉄の箱を馬100頭分の力で動かすということは、本来、異常なことですよ。

☆壮   なのに、実際の使われ方を見ると、平均して2人以下しか乗ってないらしい。

★若   3、4人で乗るケースはあるでしょうが、3列シートのミニバンに7人も8人も乗る機会なんて、ほとんどないでしょう。必要なときはレンタカーを使えばいいんです。先日発表されたトヨタ『iQ』のように、全長2.98mのボディに大人3人と子ども1人が乗れるクルマは、とてもまっとうな提案だと思います。

一番の有望株は「電気自動車」

これからの有望株は電気自動車(三菱自動車「i MiEV」
これからの有望株は電気自動車(三菱自動車「i MiEV」)

☆壮   でも、『iQ』は小排気量とはいえガソリンエンジンだね。これからは「環境への負荷を小さくする」ことを、クルマの定義に加えなければいけない。そうなると、動力源を変えてほしいな。いちばん有望なのは電気モーターだと思う。三菱の『i MiEV』やスバルの『R1e』は実際に電力会社の営業所で使われていて、1日4~50km使っても不都合がないそうだよ。

★若   電池を充電して走る電気自動車ですよね。まだ航続距離は数十キロのようですが、都市部の家庭は平日に数キロの範囲をちょこまか動いて、週末に少し遠出をする程度。電気自動車の航続距離で十分なはずですね。

☆壮   静かなことも魅力だろう。レクサスより静からしい。

★若   エタノールなどを電気に変える燃料電池は、まだ実用化が難しい。でも、電気自動車はもう各地で走行試験が行われていて、『i MiEV』なんかは今秋からアメリカでも試験を始めるそうです。ほんとに秒読みの段階だと思います。

☆壮   課題は電池なんだよね。今は重くてかさばるニッケル水素系の電池が主流だけれど、小さくて多くの電気を蓄えられるクルマ用のリチウムイオン電池が実用化されれば、一気に広がるだろう。

★若   でも、リチウムはレアメタルだから、資源上の制約を避けられません。バッテリーには、徐々に航続距離が短くなりやすい、という問題もあります。それに、電気自動車が普及して、みんなが充電したら、その分発電量を増やす必要があるでしょう。環境全体への負荷がどうなるか、トータルに考える視点を忘れてはいけないですね。

☆壮   そこは大事な視点だけれど、十分に利用されていない深夜電力を使って充電する人が多いだろうから、環境への負荷はかなり減るはずなんだ。ついでに言うと、三菱自動車の試算では、電気自動車の燃料代はガソリンエンジンの13分の1だそうだ。財布への負荷も、大幅に減るぞ。

★若   実用化された当初の価格は、ガソリンエンジン車よりかなり高くなるでしょう。でも、電気自動車は購入の際に補助金が出ます。そのうえ燃料代にそれだけ差があるなら、購入するメリットは大きいですね。それに安全上のメリットもあります。小さくて軽くなれば、電気自動車同士がぶつかっても重大事故が起きにくい。制限速度を下げれば、死傷者も減ると思います。

「未来のクルマ」は二極化していく?

嗜好品としてのクルマも残していきたい(マセラティ「グラントゥーリズモS」)
嗜好品としてのクルマも残していきたい(マセラティ「グラントゥーリズモS」)

☆壮   なるほどね。ただし、すべてのクルマが小さな電気自動車になってしまって、いいのだろうか。内燃機関の技術革新を続けるためにも、速度やハンドリングの優れたエンジン車が今後も開発されてほしいな。

★若   それはつまるところ、クルマを文化として捉えるか否かの問題につながりますね。時計に例えて言うと、クオーツが出てきたら従来の機械式時計が駆逐されたかというと、決してそうではありません。ゼンマイを使った機械式の時計は、今でも評価されています。クルマもそうなっていくべきじゃないかと思います。

☆壮   誤解を恐れずに言うと、「嗜好品」としてのクルマだね。運動性能や快適性、スタイルなどをセールスポイントに持つクルマ。

★若   クルマは産業社会の発展に貢献してきた。今の社会はクルマなしに存在しえない。そうしたことを考えると、やはり内燃機関も文化として残していくべきでしょう。

☆壮   そうした嗜好品としてのクルマは少量生産で高いものになると思う。それでも買おうという人が、その文化を守り、引き継いでいけばいいよね。ミニマムな性能の電気自動車と、高性能な少数のクルマと、二極化するわけだ。

★若   免許制度も変える必要があると思います。運転が易しくなって、ギアの仕組みやエンジンブレーキさえ理解していない人まで免許を持てるようになっていますが、クルマが「走る凶器」であることは変わりません。だから、嗜好品のクルマを運転する人は、ミニマムな性能の車の免許を取った後、限定解除で運転資格を与えるべきでしょうね。

☆壮   制度を変えてまで、環境負荷の小さな電気自動車を普及させたいと思うのは、途上国のモータリゼーションを考えるからなんだ。先進国はすでにクルマが飽和状態だけれど、途上国はこれから急増する。しかも、旧来の技術を使った安価なクルマが増える。インドで28万円のクルマが出たけれど、おそらく最新の排ガス浄化技術は使われていないだろう。環境への負荷は大きい。その分、先進国は率先して環境負荷の小さなクルマを普及させなければいけない。

★若   世界を見渡すと、これからモータリゼーションが本格化する国の方が多い。そのクルマを造り、販売するのは先進国のメーカーです。責任がありますよね。

   ※若者のクルマ離れは本当か? 「若」対「壮」激論!クルマ談義(1)
   ※日欧の「環境技術」どっちが上? 「若」対「壮」激論!クルマ談義(2)

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