ブランドには「驚き」が必要だ――デビアス銀座本店という空間

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   東京銀座、マロニエ通りにデビアス銀座本店が誕生した。世界的なダイヤモンドブランドの日本初の旗艦店だ。マロニエ通りにこのビルの姿が現れた時、異様なまでの存在感に驚いた人は多かっただろう。

シャネルビルを凌ぐ強烈なインパクト

強烈な存在感を放つデビアス銀座本店
強烈な存在感を放つデビアス銀座本店

   通りに面した正面、ファサードはうねりながら空に伸びている。このうねりのリズムがビルの横面の構成にも受け継がれている。さらにはまず人が見ないだろうと思われる、隣のビルとの僅かな空間にもわずかなうねりとして加えられている。ビル全体が力を受けて揺らいでいるかのようだ。

   設計は光井純氏。「大地から立ち上がる光のリボンのように、あるいは色と形を間断なく変化させていくオーロラのように、銀座の華やかでそして優美な姿を持たせたいと考えていた」と説明されている。

   マロニエ通りには既に伊藤豊雄氏によるミキモト銀座2、ピーター・マリノ氏によるシャネルビルなど、個性的な建築があったが、それを凌ぐインパクトを感じた。外観からしてすでに大きな驚きがある。

ダイヤモンドの内部世界をイメージした内装

店内はダイヤモンドの内部世界のイメージだという
店内はダイヤモンドの内部世界のイメージだという

   扉の、手で触れるところは長方形のステンレス。そこに小さな三角のくぼみが刻まれている。輝くダイヤモンドのようだ。扉からは店内がすっきり見える。開ければすぐそこに新作コレクションが置かれている。店の人ともすぐ顔が合う。一見入りやすいようで、これはなかなか敷居が高い。この敷居の高さの演出こそ、高級ブランドの証しだ。

   店内に入ってすぐ、円を作るように並んだディスプレイカウンターがある。カウンターもダイヤモンドのカットを思わせる台と脚で構成されている。内装は白と黒とガラスのみで構成。黒い壁には光の芸術家、田原桂一氏の作品が異彩を放っている。内装を担当したフランスの若き建築家、クリストフ・カルペンテ氏によるもので、ダイヤモンドの内部世界をイメージしたものだという。

   気がつくのは、確かにダイヤモンドのカットがインテリアデザインのすべてに行き渡っているということだ。結果として白い光だけの世界なのだ。「このディスプレイカウンターには鍵も取手も見えませんよね。実はガラスが可動式なんです」と、取材で来ていると知っている店の人が通りすがりにさっと教えてくれた。細かなところにも驚きがある。

店の人のひと言、ひと言が驚きをもたらしてくれる

写真には「黒く」映る壁。しかし肉眼では「クリーム色」に見える・・・
写真には「黒く」映る壁。しかし肉眼では「クリーム色」に見える・・・

   2階へ行くとダイヤモンドのファセットを思わせる三角形が連続する壁に出会う。三角形のいくつかは商品ディスプレイになっている。見た時の印象では明るいクリーム色で細かなきらめきがあった。

   ところが、これは後で写真を見て驚いたのだが、この壁は黒く写るのだ。この仕組みはどうなっているのだろうか。撮っている時にはカメラマンも気づかなかったと言うし、念のため撮影したデジタルカメラの画像もそうだった。帰ってからまで驚かされるとは思いもしなかった。

   ここでは極めて高額の商品がいつでも取り出せますよと言わんばかりに展示されている。そして店の人のひと言ずつがいちいち驚きをもたらしてくれる。ブランドにはたくさんの驚きが必要なのだ。


◆坂井 直樹 プロフィール

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

>>>emoTV ムービーのココロミ


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