前へ――疾走感あふれる音と詞「ONE OK ROCK」

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『BEAM OF LIGHT』
ONE OK ROCK/2008年5月28日発売
AZCL-10017 1800円
Aer-born


   ONLY ONEという言葉は、スマップの「世界に一つだけの花」ですっかり世間に定着した。BEST ONEではなくてONLY ONEで良いという考え方は、考え方としては正しい気もするが、どうなのだろう?

   ONLY ONEもBEST ONEもどちらもありだが、皆がみなONLY ONEでOKということになると、競争は生まれない。競争の生まれない社会は、衰退するようにも思える。BEST ONEを追い求めれば疲弊するし、痛し痒しと言うところ。相対としてのバランスをとりながら行くしかないか……。

   ただひとつだけ言えること。ONLY ONEは、為政者には好都合。

   バランスのひとつに、世代のバランスというものがある。バランスが崩れれば対立が生まれ、権力を持つ側の強権の発動もありうる。権力を持たぬ側の革命もまた可能性を否定できない(革命といっても共産革命ではないので悪しからず)。ただ、今の日本の若者には革命などという覇気は感じられない。反攻を組織して初めて革命勢力足り得るのだが……極めて個的な反抗のレベルを出ない。

   勢力の組織化に必要なもののひとつに、夢がある。別の言い方をすれば理想。もっと別の言い方をすれば現実の理解と破壊。それはあらゆる表現の場で可能だが、若者の苛立ちは、昔のように政治には向かっていかない。自分の所属しようとする世界の中で風雲急を告げる程度。音楽=ロックもまたしかり。

   その中で、ひとつ萌芽を見つけた。ONE OK ROCK。本人たちにその気があるかないかは別にして、アジテーター、オーガナイザーになれるバンド。メジャーデビューして1年、ただひたすら前に走り続けてきているONE OK ROCK。

   07年11月に1stアルバム『エトセトラ』を発表したばかりだというのに早くも2ndアルバムを発表。彼らのリアルな活動の場であるライブを全国規模でやり続けている、その結晶のようなアルバムだ。疾走感溢れる、それでいて見事にアルバムとしてのまとまりを感じさせる。1年前とは別のバンドと思える変わりよう。意識するしないは別にして、彼らの懸命の営為は、ストレートに若者の胸に飛び込んでいく。サウンドはシンプルで詞が良い。

   大人の側も、彼らの言葉に耳を傾ける度量があれば、バランスは取れるのだが……。書き足りないが、この続きは、また次の機会に。


【BEAM OF LIGHT  収録曲】

1.必然メーカー
2.Melody Lineの死亡率
3.100%(hundred percent)
4.Abduction-Interlude
5.燦(ルビ=さん)さん星(ルビ=だま)
6.Crazy Botch
7.光芒
8.Yap

LIVE DVD
世の中シュレッダー
AZBL-1 3000円も発売中


◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70〜80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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