美術館で体感する「バガボンド」 井上雄彦「最後のマンガ展」
2008.06.13 17:46
0
「スラムダンク」「リアル」などの超人気漫画を世に送り出してきた偉才、井上雄彦。彼のマンガが紙面に留まることなく、美術館という名の空間に飛び出していったとしたら、そこにはどんな世界が待っているのだろうか。「井上雄彦 最後のマンガ展」が2008年5月24日から7月6日まで、上野の森美術館(東京都台東区)で開催されている。
"最初で最後"の空間マンガ
(C)FLOWER
このマンガ展は、現在も執筆中のコミック「バガボンド」をモチーフに、井上雄彦が100点以上におよぶ肉筆画を書き下ろし一つの物語を完成させた「空間マンガ」だ。井上は本展の制作のために連載を一時中断し、その延長上にあるストーリーを美術館に描き上げた。
主に和紙をキャンバスとして筆の持ち味をあますことなく活かし、また一つのコマを破格の大きさのパネルに仕立てるなど、作画への意欲と探究心に満ちたものになっている。
それぞれの絵画が独立した作品であると同時に全体が一つの物語としてつながっているこのマンガ展。どのような会場設計がもっともストーリーを訴えることができるのか、井上はスタッフと意見を交わしながら、一つひとつを自らのアイデアで作り上げていったという。