身を削って表現する勇気 ロックな生き様「神威龍牙」

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『CONSECRATE MOVIE』
神威龍牙/2008年7月16日発売
DAKRPGCM-111/6660円
CONSECRATE RECORDS


   自分を表現する方法を、人は自ずと持っている。少し前に上映された「潜水服は蝶の夢を見る」は、アカデミー賞の4部門にノミネートされ、ゴールデングローブ賞、カンヌ映画祭などで計40部門近い受賞を果たした映画だが、これは自分の肉体で唯一動かせる左目の、20万回という途方もない回数の「瞬き」で、自伝を書き上げたジャン・ドミニク・ホビーの真実の物語であり、見る者に感動を与えた。

   これは、究極の唯一残された表現であり極端な例かもしれないが、一方、健常者にとって表現の方法は、選択しうるものであり、なにをどう表現しようが自分の勝手というところだ。

   だが、多くの人々にとって表現は、自分の生活の些細な、日記、カラオケ、家族の記録といったレベルにとどまる。自らをより多くの大衆に向けて表現するという、いわゆる表現者としての立ち位置に立つことは、それだけで困難なことだ。

   表現とは、常に自分自身との闘いを余儀なくされることのような気がする。それはおそらく生命を、身を削る思いの果てに自由を得る闘いとでもいえるのではないだろうか。表現を希求する者は、数多い。だが、身を削るような思いで表現する者はどれほどいるか?

神威龍牙。かむいりゅうが、と読む。ROCK ARTISTだ。俗に言えばヴィジュアル系といわれる音。だが、彼には下肢がない。先天性の肢体障害で生まれた。10年前頃はスキーにチャレンジして、ジャパン・パラリンピックで優勝したこともある。それも彼の生きることの表現だった。

   だが、やはり体力的に継続するのは難しく、その後、モデルや役者、カウンセリング/ライフアドバイスを主目的としたホスト、ジュエリー・デザイナーなど、様々なことにチャレンジしてきた。

   そして2007年6月、「SPARK/Lecherous」でROCK ARTISTとしてCDデビューを果たした。以降、計3枚のシングルをリリース。デビュー1年となる2008年7月、活動の集大成とも言えるDVD『CONSECRATE MOVIE』、さらに新たな扉を開くシングル『Trip/BLACK DRAGOON』を同時に発表した。ダークな詞でハードな内容だが、大きな世界観が、メロディアスな曲とマッチする。

   DVDを観れば、神威龍牙は自分のすべてを表現のモチーフにしているように見える。さまざまな言い方はあるのだろうが、勇気と才能がなければ出来ないこと。その一点で、神威龍牙は明らかに表現者である。


【DVD『CONSECRATE MOVIE』 収録内容】
*神威龍牙の活動を追ったドキュメント作品。デビュー後のシングル3枚から「DECIDE」「Cherub」「Oracle」「REAL」のPVもフルで収録。デビューしてから昨年末までのトータル50時間にも上る映像ストックの中から、選りすぐりのシーンを約100分に凝縮、神威の活動の裏側にも迫るドキュメントDVD。ライブ映像、レコーディング、撮影時風景までも収録。音楽活動以外にアクセサリーデザインも手掛ける神威の全ての活動を網羅している。

(同時発売)
CD『Trip/BLACK DRAGOON』
2008年7月16日発売
RPG-444/1200円
CONSECRATE RECORDS


◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70〜80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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