「iPhone旋風」アップルは抜け目ない「ビジネスマン」
テクノロジーよりパッケージデザインが際立つ
iPod classicの見た目は、2001年の初代からほとんど変わらない
こうした傾向は、ノートパソコンの「MacBook Air」や、iPhoneの先祖である2001年発売のiPodにも見られた。一般に、アップルに対する革新的なイメージはどんどん膨らんでいるようで、余計にそのギャップを感じる。今更ではあるが、今や携帯デジタル音楽映像プレーヤー(MP3プレーヤー)の定番となったiPodの例を振り返ってみよう。
iPodが登場する前、すでにあまたのプレーヤーが有望と目される市場にひしめき合っていた。しかし、それらは機能的にも見た目にもデコラティブで、複雑でよくわからないモノとの印象を多くの人に持たれていた。そこに、機能を絞りこみ、ユーザーフレンドリーなイメージをスッキリとした衣装に包んだiPodがデビューすると、一気に市場を席巻した。
ここでのアップルの仕事は、どこにでもある水を、綺麗で飲みやすそうな未来型のボトルに詰めて売り出したようなもの。テクノロジーよりは、パッケージデザインが際立っていたのである。
iPhoneも同じような方法論ではないだろうか。スマートフォンは、アップルの発明でも独創でも何でもないし、スペック・機能(対価格)的に競合製品より優れていると思える部分も少ない。ただ、この分野には、音楽プレーヤーに乗り出したときよりは、先駆者的に取り組んだとは言えるが…。
虎古田・純