2018年 7月 23日 (月)

「ザラッとした気分」溶かしてくれる「ゴンチチの音」

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『VSOD -very special ordinary days-』
ゴンチチ/2008年8月6日発売
ESCL-2552/3059円
Epic Records


   以前にロドリーゴ・イ・ガブリエーラという、ギター・デュオを紹介したことがある。ギターという楽器の表情はまったく千差万別で、彼等のような激しく熱情的な、どこにも無い音というものがある一方で、今回紹介するゴンチチの様な音もある。

   穏やかで優しく、時には眠くなることもあるようなリラクゼーションに満ち満ちた、ヒーリングにも通じる音もある。どちらがどうというのでもないが、いずれもギター・ミュージックとして出色のものだ。

   ゴンザレス三上&チチ松村という、普段もまるで"たゆたう"ような空気感を漂わせている2人の作る音は、ゆったりと静かに、聴くものの皮膚から入ってくる。ぬるめの湯にいつまでも浸かっていたい感覚に近い。

   最近街を歩いているとイラッとすることが多い。まるで周りに人無きが如くに振舞う、無神経な人間が増えてきているような気がする。階段で後ろから上ってくる人がいる事が分っているにもかかわらず、傘の先端を後ろに突き出すように持って階段を上がる人。満員電車の入り口で、降車する人のいるのが見えないかのように入り口に踏ん張って立ち続ける人。いずれも、今さっき僕が経験したこと。

   眺めていると、なぜか僕とご同輩といった年配の人が多い。どこかが歪んでいるような気がしてくる。僕の中にもそうした無神経さ、自己中感覚が無いとはいえないところが悲しい。

   そんなザラッとした気分で家に戻りついて、ゴンチチを聴く。ザラッとした砂のような気分が、少しずつ湯で流したようにまったりとしてくる。

   これが音楽のひとつの力だと、顔がほころぶ。


【VSOD -very special ordinary days- 収録曲】
01 行ってきます 
02 beautiful days
  *東レ「トレビーノ」CM曲
03 7season 4beat
04 チムニーソング
05 jam-ja-fro
06 山の温泉旅館
07 prelude to mica
08 sound of wind
09 パレード
10 macaroni eastern
11 tampopo
12 good night city
13 tampopo(vocal ver.)
  ゲストヴォーカル:RACHAEL DADD(from Bristol UK)
【Bonus track】
14 scarborough fair
  *ダンロップタイヤ「VUERO」CM曲
15 課外授業
  *大日本住友製薬CM曲


◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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