懐かしの「落書き」 Web上で復活

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   チョークや黒板消し、鉛筆削りなどを使い、パソコンの画面上で顔写真などに「落書き」できる――そんなサイトが今ちょっとしたブームになっている。どんなにヒドい顔に変えても怒られないどころかホメられる。確かにストレス解消にはなりそうだ。

事件をヒントに「発想の転換」

賢治がニートに…時代を象徴するらくがきだ
賢治がニートに…時代を象徴するらくがきだ

誰か分かる? 北原白秋です
誰か分かる? 北原白秋です

   まずは、2008年7月7日にオープンしたサイト「教科書.net」。教科書でよく見かける偉人の写真などに、鉛筆や消しゴムを使って落書きや修正が加えられるサービスを提供している。

   サイトを開設したマリーチの福島智さんは、着想の背景をこう語る。

「近ごろ、文化財などへの落書きが相次ぎ、問題になりました。そのような事態を、Web上で落書きをめいっぱい楽しむことにより、少しでも防止できれば、と考えたんです。また、昔懐かしい気持ちに浸りながら、最近触れることが少なくなった偉人たちを改めて知ることができれば、との思いもありました」

   偉人の紹介などについては、ウィキペディア日本語版に含まれる記事を使用。画像は肖像権上、問題がないものに限って使用しており、グニュー・フリー・ドキュメンテーション・ライセンス(GFDL)の許可のもと、誰でも写真などを改変できる形になっている。

   9月17日現在、サイトでは国語、日本史、世界史、音楽、美術の5教科を合わせて350余りの有名人の「落書き作品」を掲載。同一人物の重複も含めれば、総数はゆうに1万件を超えるという。

   落書き対象として最も"人気"が高いのは芥川龍之介で930回。次いで、モーツアルト(401回)、正岡子規(341回)だった。ほかにはヒトラー(291回)、一休宗純(208回)というところが目立つ。知名度の高さは、やはり落書きの対象になりやすいらしい。

   閲覧数の多い落書きは「人気者の教科書」というコーナーにまとめられているが、中でも宮沢賢治作品の1つに出色のものが! なんと、実直そのものの賢治の顔が、ある「発言」により、ネット上で有名になった"ニート"に様変わりしているのだ。

人気No.1作者「普段ほとんど絵を描かない」

似てて、いいとも~!
似てて、いいとも~!

   続いて、同年8月11日に機能を充実させて正式オープンしたばかりの、黒板風手書き投稿サイト「こくばん.in」を見てみる。

   白・赤・青・黄・緑・茶6種類のチョークを使い、誰でも黒板上に自由に落書きができるというサービス。ユーザー登録すれば、完成した落書きを投稿して利用者全体に見てもらうことも可能だ。9月17日現在の投稿総数は約40万に膨れ上がっている。

   「こくばん.in」には、人気の落書きが閲覧回数順に表示されるコーナーもあるが、その落書きレベルは、「素人」の域を超えている。特に、17万以上ものアクセスを誇るのが、人気タレントのタモリさんをモチーフとした作品だ。

   陰影をつけるツールとして黒板消しを使用。ユーザーからは「世にも奇妙なほど似ている」「神様と呼んでもいい?」など、賞賛のコメントが後を絶たない。

   作者によれば、「普段は絵なんてほとんど描かないんで、ヘタなんです」とか。

   「落書き」の才能と「絵」の才能は別なのかもしれない。

   紹介した2サイトでは、完成した落書きだけでなく、出来上がる過程も早送りで見せてくれる。落書き現場に立ち会っているようなライブ感を覚えるうえ、「教科書.net」であれば偉人が別の存在へと変化していく様子、「こくばん.in」では作り手がどのような点に工夫しながら絵を完成させていくかが分かって面白い。

   落書きも便利な時代になったものだ。

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