渋谷・六本木より安全? 「歌舞伎町」の「再生」は進んでいた

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   しばらく元気のなかった東京・新都心の新宿が、ここにきて息を吹き返している。東京メトロ・副都心線の開通で、東新宿の辺りはホテルの開業ラッシュ、新宿三丁目でも新宿ピカデリーのシネコンビルがオープン…という具合なのだが、あの「歌舞伎町」だって負けてはいない。商店街のシンボル的存在だった「新宿コマ劇場」は閉鎖、リニューアルを控えているし、吉本興業の東京本社も移転してきた。歌舞伎町は「怖い街」から「安全で楽しい街」へとイメージ一新を図っているのだ。

「ビル火災」を機に街をクリーンに

歌舞伎町では現在、週3回の防犯パトロールに力を入れている
歌舞伎町では現在、週3回の防犯パトロールに力を入れている

   東京都新宿区にある歌舞伎町は、JR新宿駅東口近くに位置する600メートル四方の狭い地域。街の名前の由来は終戦後、焼け野原となった新宿に「歌舞伎座」建設を目指したことによるが、歌舞伎座計画は実現せず、街の名前だけが残っている。

   この街の話題で特に印象的なのは、2001年9月に発生した「新宿明星ビル火災」。雑居ビル3階の出火が原因となった大火事で、44人が亡くなっている。

「当時は違法カジノ、違法エステが占拠しているような状態でした。事件のあったビルは窓がふさがれていたことで、逃げ切れなかったのです。環境さえ整っていれば、事故の被害は最小限にとどめることができたかと思います」

   歌舞伎町商店街振興組合の事務局長の城克(じょう・まさる)さんは、惨事をこう振り返るが、風俗店の存在そのものを否定しているのではない。

「風俗営業のお店やホストクラブ、キャバクラの中でも、ルールに則って営業している『白』の店がある一方、違法に近い『黒』の店があります。その割合は黒1割、白が1割です。そして、残りの8割はグレーなんです。私たちとしてはグレーを減らしていきたいですね」

   以来、荒れていた歌舞伎町を安全・安心な街にしたいとの思いから、官民一体となった組織「歌舞伎町ルネッサンス」が立ち上げられ、街、行政、警察、消防などが参加して、ビル内の違法看板の撤去などを敢行。現在も週3回の防犯パトロールをしていて、違法なキャッチ、勧誘の禁止を強く訴えている。

「『客引き』をできるだけ防止したい考えです。歌舞伎町は怖いところではない、そういったプラスのイメージをアピールできれば、と思っています」

街が明るければ安全

歌舞伎町の今後について熱く語る、城克さん
歌舞伎町の今後について熱く語る、城克さん

   そうはいっても、本当に歌舞伎町は安全・安心なのだろうか? 城さんは、安全になりつつある理由として、「街が明るいこと」を挙げる。

「歌舞伎町は実際、渋谷や六本木などと比べても安全です。路上に限っては、薬物の売買もありませんし、けんかやひったくりは減少傾向にあります。そういう意味では、歌舞伎町は歩きやすい街ですね。渋谷の場合、暗くなるとシャッターが閉まるので、むしろこわいと感じると思いますよ」

   実際、歌舞伎町の客層は若い人が多くなったそうで、ホストクラブが増えたこともあってか、女性客も増加傾向だという。

歌舞伎町誕生60周年記念イベントも

   歌舞伎町の"リニューアル"が進むなか、08年10月31日~11月3日には、歌舞伎町誕生60周年を記念したイベント「歌舞伎町フェスタ2008」が開催される。吉本興業所属のお笑い芸人らによるコントライブのほか、ラテン15か国のミュージシャンらを招待し、踊りや音楽が披露される予定だ。

   同フェスタの宣伝を担当するグアパ・グアポの矢野直枝さんは、

「多くの文化が集まる新宿で、各国の文化を発信できたらいいなと思います。ラテンのノリ、元気のよさやエネルギッシュさをぜひ、楽しんでください」

と、アピールしている。

   最後に、城さんの一言で締めよう。

「場所によって住み分けができれば、と思うんです。駅前の飲食店街、大通りの高級ショッピング街、歌舞伎町の歓楽街みたいになればいいんじゃないでしょうか。他の地域に負けず歌舞伎町にも足を運んでもらえるよう、今後もさまざまな提案をしていきたいと思います」

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