うめ吉「うめ吉の唄う童謡・唱歌」「うめ吉の唄う童謡・唱歌」うめ吉/9月24日発売/OMCA-1094 3000円オーマガトキ昔々、日本という国は家という単位で成立していた。家が存在したからこそ共同体としての村も存在した。日本は確実に農業国家としての基盤を持っていた。村落共同体の中では子供は潜在的労働力として保護され、大事にもされた。子供のための歌も生まれた。それはついこの間、わずか50年前までの日本の一般的な風景の中の出来事だった。工業化への道をひた走った日本は家を失った。核家族と呼ばれる家族が残った。やがて日本は第2次産業から、ITをはじめとする知的産業に向かって再び走り始めた。そこでは家族が失われた。個家族と呼ばれる、一人暮らしの若者が増えている。そこには子供の姿もない。だから子供の歌もない。こんな国があと50年も存続できるのだろうか?うめ吉姐さんは20歳過ぎて純邦楽の世界に入った。おそらく人知れぬ努力と苦労があっただろう。だが、落語の囃し方として高座の音を担い始めると「才能」は黙ってはいなかった。やがて俗曲師として高座に上がり、多くのCDを制作したのである。小唄、端唄、長唄、清元…日本固有の歌謡をどんどんと音にしてきた。かつての日本という土壌が産み落とした俗謡を、すでに何枚ものCDに焼き付け、残している。そのうめ吉姐さんが、今度は童謡・唱歌を歌った。独特の細いけれどはっきりと伝わる声で、綺麗な日本語を聴かせてくれる。いまでは誰も唄えなくなっている鼻濁音できちんと唄う。だから美しい日本語がより美しく伝わる。なんと豊かな歌が昔の日本にはあったのだろうと思う。日本中の子供が共有した歌が何曲もある。別段インターネットやケータイがあったわけでもないのに、だ。子供の心に入り込む力のある歌。そんな歌があったことを、うめ吉姐さんの歌は教えてくれる。うめ吉姐さんは、いつでもきちんと日本髪を結い、着物で出かける。そしてこんな事を言う「ニッポンしましょ!」。そう、後戻りは出来ないが、ニッポンすることは、なんかできそうな気もするな。1お猿のかごや2通りゃんせ3春の小川4証城寺の狸囃子5十五夜お月さん6どんぐりころころ7たきび8みかんの花咲く丘9ニャンニャンおどり10赤とんぼ11赤い靴12七つの子13おぼろ月夜14雨降りお月さん15夏の思い出16花嫁人形17夕やけ小やけ
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