コアなファンを持つ 「中山うり」の独特な音世界

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「夕焼け空に摩天楼」
中山うり/10月8日発売/
SICL-208  1223円
Sony Music japan International


   日本人の音楽センスといえば、戦後の昭和30年代生まれまでは、よほどピアノやギターを習ったというような特別の環境がなければ、盆踊り~の後乗り~の手拍子の「チャンチキおけさ」的ノリだった。これは止むを得ない。周りにそんな洒落た洋楽など聴ける環境もなかったし、身体に染み付いたリズム感は、そうそう払拭できるものでもなく、昭和40年代からの洋楽ブームでようやく、なんだか自分の生理的なリズムとは異なる、4ビートやら8ビート、16ビートといった洋楽のノリを耳で確かめ始め、どうもそっちの方がカッコいいぞということになった。昭和50年代の通説はまだ「日本人には洋楽のノリは無理」という感じだった。それが、平成に入るとあれよあれよと言う間に、日本人の音楽センスはヨーロッパでもアメリカでも通用するほどになった。俗にビジュアル系、ハード/メタルロックと呼ばれる幾つものグループは、ヨーロッパのレーベルからCDを発売したりして、人気だったりする。若いバンドが武者修行といった感じでアメリカに渡りライブハウスツアーを成功させたりしている。

   そういう系譜とは違って、矢野顕子のようにどこか日本的でありながら無国籍な音で世界で活躍するアーティストもいる。日本国内でも、アーティスティックで無国籍な音を奏でる女性アーティストが人気だ。爆発的な売り上げはないけれど、コトリンゴのようにしっかりとコアなファンを掴んでいるアーティストもいる。

   中山うりもそんな一人と言っていいかもしれない。07年デビューと同時にi-tuneなどで記録的な配信、フジロックにも連続して出場するなど、すでに確立したアイデンティティをもっている。アコーディオンの弾き語りで歌うスタイルは、誰にも真似の出来ない世界を作り出す。ジプシー音楽、ミュゼット、タンゴなどアコーディオンを伴奏に使う音楽をミックスしたような独特の音世界を持っている。でありながら現役の美容師さんというところがまた、なにか胸がワクっとする。詞の世界も、古ぼけたような、どこからかジンタでも聴こえてきそうな「魔都」とでも言うような都会の物語を歌う。是非チェックすることをお薦めする。

   11月5日には1stフルアルバム『ケセラ/Que Sera』も発売予定だ。


【夕焼け空に摩天楼 収録曲】 1.夕焼け空に摩天楼
2.ほろ酔いブランコ
3.夕焼け空に摩天楼 inst ver.
4.夕焼け空に摩天楼(instrumental)
5.ほろ酔いブランコ(instrumental)


◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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