女性ユニット「ワイルドウーマン」 最高の「肉体」で歌うR&B

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ワイルドウーマン
『don't have the blues』
CYCP-60004
2500円
10月29日発売
クライムミュージックエンタテインメン/ビクターエンタテインメント


   ブルースやゴスペルといった音は、なかなか耳にする機会がない。それもプリミティヴな音となると、懸命に探し出して聴くといった営為が必要で、結構オタクな作業が要求される。もし雰囲気だけでも味わいたいというのであればこのCDは絶好だ。女性3人のユニット、ワイルドウーマン。

   日本ではあまり知られていない女性達だが、いずれもR&Bの殿堂入りしている名シンガー&女優。アメリカではブロードウェイ、オフ・ブロードウェイ・ミュージカルのバイ・プレーヤーとして活躍するマキシーン・ブラウン、ビバリー・クロスビー、今は亡きジミー・ギャレット(シュープリームスの音楽監督で、ベーシストだった)の奥方、エラ・ピーチズ・ギャレットの3人が組んだこのユニットは、2001年に結成され、とてもとっつき易く、暖かい歌を聴かせてくれる。好き嫌いはあるだろうが、3人ともとてつもなく歌が上手い。ミュージカルなどで鍛え上げた歌の説得力は他の追随を許さないのではないかとも思える。「 ザ・ブルース・メドレー」「レイ・チャールズ・メドレー」もいいが「アメイジング・グレイス」も、泣きの「アメグレ」でなくどこか力を感じさせる。「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」は聴き惚れた。

   ジャケットを見れば分る通り、歌を歌うには最高の肉体を持った女性たちで、聴いているとなんだかむやみに暖かく、心が解き放たれる。女性のブルース・シンガーといえば、ビリー・ホリデーを思い出してしまうのだが、ワイルドウーマンはその対極にいるかのように明るい。

   ちなみにこのCDの演奏は日本人のTOYAの率いるトリオ。キーボードをTOYAが弾いている。シンプルで、3人の歌を最大限に活かすアレンジがいい。

   「NEW YORK LIVE in JAPAN」と題した日本ツアーを、現在も行っている。興味のある方は、足を運ばれるといい。本国アメリカでの公演は、ほぼソールドアウトでなかなか聴けないようだ。

【don't have the blues  収録曲】
1. ウイ・ケイム・ヒア・トゥ・ハブ・ア・リアル・グッド・タイム
2. ザ・ブルース・メドレー
3. ワン・ダン・ドゥードゥル
4. キッチン・マン
5. ブルー・キャナリー
6. イフ・ユー・ラブ・ミー
7. レイ・チャールズ・メドレー
8. テネシー・ワルツ
9. ラブ・トレイン~エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ
10. テイク・ザ・エー・トレイン
11. アメイジング・グレイス~オー・ハッピー・デイ
12. ホワット・ア・ワンダフル・ワールド
13. フィナーレ


◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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