「高音質CD」でいま蘇る ダミ声ピアノマン弾き語り

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『ガンボ』
ドクター・ジョン
08年12月17日発売
WPCR-13256(SHM-CD)
2300円
ワーナーミュージック・ジャパン


   今回は、ちょっと別視点から。

   著しい技術革新の成果、といっては少し大袈裟だが、塩ビのレコード盤を駆逐したCDにもおおよそ四半世紀の月日を経て新しい波が押し寄せている。高品質CD、ニューマテリアル(新素材)CDなどと呼ばれるものだ。要するにディスクの素材そのものが変わったのだ。CD開発当時には使われなかった素材、液晶パネルなどに使われるポリカーボネート樹脂を使うことで、音質が飛躍的に向上した。

   これまでの音質向上のための技術革新といえば、おおむね新しいハードを必要とするもので、そのたびに再生機を買い替えさせられていたが、新素材CDにはその必要がない。どんなCD再生機でも音質の向上を実感できる。

   現段階で、日本では主に3種の高音質CDが開発・実用化されている。SHM-CD(ユニバーサル、ビクター、ワーナーなどが採用)、HQ-CD(コロムビア、ポニー・キャニオンなどが採用)、そしてBlu-spec CDだ(ソニーが採用)。細かな技術的側面の説明は省くが、いずれもマスター音源に近い再現性を持っている。各レコード会社が、いずれの高品質CDを採用するかはさほど問題ではない。多少の価格上乗せは止むを得ないが、ハードとの連動がないから、聴き手は従来のCDと高品質CDを買い分けるだけで済む。

   この12月は、同3日からユニバーサル、同17日からはワーナー、同24日からはソニーと、各社から高品質CDでの旧譜の再発が続いている。これは買いです。

   その中の1枚、ここでは70年代のロック・シーンへ、ニューオーリンズの風を送り込んだドクター・ジョン72年の傑作『ガンボ』を紹介する。ドクター・ジョンはラグタイム・ピアノの弾き語りを得意とするピアノマン。その風貌、ダミ声、楽しげな演奏スタイル、ロック感…どこをとっても最高のエンターテインメント。その他の高品質CDのラインナップも、名盤と呼べるものばかりだが、敢えて……。

【ガンボ  収録内容】
1:アイコ・アイコ
2:ブロウ・ウィンド・ブロウ
3:ビッグ・チーフ
4:サムバディ・チェンジド・ザ・ロック
5:メス・アラウンド
6:レッツ・ザ・グッド・タイムズ・ロール
7:ジャンコ・パートナー
8:スタッカ・リー
9:ティピティーナ
10:ゾーズ・ロンリー・ナイト
11:ヒューイ・スミス・メドレー
   ハイ・ブラッド・プレッシャー~ドント・ユー・ジャスト・ノウ・イット~ジョン・ブラウン
12:リトル・ライザ・ジェーン


◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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