「2億円」でメジャーデビュー 異色トリオの「職業」とは?

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ザ・プリースツ
『THE PRIESTS』
BVCP-21652
2548円
08年12月3日発売
BMG JAPAN


   歌は誰にでも歌える。今の世では歌うことを禁じられることはない。イギリスで「最も重要ながらも最も腹の立つ発明品」調査で、はた迷惑な発明のトップにカラオケが上げられたそうだが、毎日何百万人という人々が、カラオケなどで歌っている。

   歌は万人のものなのだが、歌って聴かせるという立場に立てる人は少ない。歌って聴かせる立場の人とはどんな人だろうか? 真っ先に思いつくのは、歌手と呼ばれる人たち。歌うことを生業にしているのだからこれは当然だ。学校の先生もいる。教育の一環として生徒に歌を歌い聴かせなければならない場合が生ずる。これは否応なしだ。後は、教会の聖歌隊などだろうか? 後は思いつかない。そう考えると、意外に歌い聴かせるという立場に立つ人間は少ないということになる。

   だが、どんな人でも歌手だと認定されれば、歌い聴かせる立場に立つことはできる。相撲取りだろうが野球選手だろうが、老人だろうが幼稚園の園児だろうが、歌い聴かせる立場に立てる。

   ただ、歌うことが似合わないという人々もいる。どれほど歌がうまくとも、歌手としては認知しがたい立場の人がいるものだ。その一つに神父は入らないだろうか?

   聖歌隊は別にして、神父というのは祈りはするが歌は歌いそうもない。歌う前に祈れば良いのにという感じもする。神父は英語でPRIESTSと表す。そのままのアルバムタイトル、グループ名でデビューした神父様がいる。それも100万ポンド(約2億円)という破格の金額で世界のメジャーレーベルSonyBMGと契約したというから驚きだ。神父様3人のグループTHE PRIESTSのデビューアルバムは、賛美歌だらけではあるがPOPミュージックとしても充分に聴き応えのあるもの。彼らの歌唱力は、ローマ法王の前でも歌ったというキャリアからも証明済み。ユージン・オヘイガン神父(48歳)とマーティン・オヘイガン神父(45歳)兄弟と、デイヴィッド・デラージー神父(44歳)の3人組。北アイルランドのローマ・カトリック教会の現役神父だ。歌は聴けばわかるというほかない。

   歌の好き嫌いは別にして、神父様がメジャー契約しCDデビューした事に賛美、じゃなくて賛辞を贈りたい。ちなみに教区の仕事は音楽活動に優先し、売上金はチャリティーに供するとのこと。さすが神父様。

【THE PRIESTS  収録曲】
1. アヴェ・マリア
2. 威厳と気高さを身につけ~ハイドン:オラトリオ「天地創造」より
3. 天使の糧
4. アイリッシュ・ブレッシング
5. ベネディクトゥス
6. 祈り
7. ピエ・イエス
8. ベツレヘムへ向かって
9. アバイド・ウィズ・ミー
10. 神に実りの種を
11. ひとり子である主~ヴィヴァルディ「グローリア」より
12. オー・ホーリー・ナイト
13. 見よ、これぞ大祭司
14. ビー・スティル・マイ・ソウル
15. 主よ、人の望みの喜びよ *
*日本盤ボーナス・トラック


◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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