未来が「突然」やってきた 「ニコン UP」が示す衝撃

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   ニコンが主催するアップビートクラブ(UP BEAT CLUB)というトークイベントで、未来について先日語りあってきた。場所はニコンの「UP(ユー・ピー)」という商品を実体験してもらうスペース、UPLAB表参道。表参道ヒルズの地下2階にある。僕は以前もUPには触れているけれど、改めてUPを身につけてみて、未来が突然やってきた、と感じた。しかしこういう未来は歓迎だ。

大型モニターの映像が浮かんでいるよう

アップビートクラブでのトークイベント
アップビートクラブでのトークイベント

   携帯電話が有線の電話の形から少しずつ離れて今のケータイになり、デザインの方向性は使い方次第で千差万別になってきた。これとはだいぶ事情が違う。UPの形は昔からそういうものはありかもね、と多くの人が感じつつ、それは未来のこと、と思っていた形だ。映画「未来世紀ブラジル」のようなサイエンスフィクションの世界にふさわしいツールとも言える。唐突さはニコンの意図したところだろう。その方が強い登場感を導き出せる。

   UPは無線LANやUSBで様々な映像コンテンツや音楽をダウンロードして楽しむためのヘッドマウントディスプレイだ。モーションセンサーが内蔵されていて首を動かすことでの操作もできる。片方の目にだけ届く映像は少し離れたところに大型モニターの映像が浮かんでいるかのようだ。確かに装置が提供するのはまったく新しい世界だ。

次はマイクがついて通信機能?

ヘッドフォンといえばそうなのだが…
ヘッドフォンといえばそうなのだが…

   普通の未来はこういう形ではなく、日常にさりげなく潜んでいるものだ。過去からある存在がふと使い方や見方が変わったところで未来のものに切り替わる。新しいデザインはたいてい今までにある何かからの引用だ。コンセプト作りという作業もたいていはまったく新しいものではなく、別のものからの引用を編集することでできあがる。自動車や古い機械、ある時代の品々。そんなものから新しいケータイを考えたりする。もちろんUPはヘッドフォンという機能はヘッドフォンそのものだけれど、そこに片目だけに届く映像というのはまったく新しい。僕たちにとって見慣れた眼鏡型にせず、あえて新しくしているのだ。

   こうなると次はマイクがついて通信機能…と考えたくなるか実際はどうなっていくのだろうか。ニコンの冒険が楽しみになってくる。ところで現実的な使い方として、株式市場や外国為替市場の関係者はこれが使えたら便利になるのではないかと思うがどうだろうか。動向から目が離せない人にはまさにうってつけの装置のように思うのだけれど。こうなると一気に現実に落とし込めてしまうようだ。


◆坂井 直樹 プロフィル

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科教授。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

>>>emoTV ムービーのココロミ

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