E・ボーディーが明かす 「話すように歌う」意味

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エリン・ボーディー
『リトル・ガーデン』
OMCZ-1029
2625円
08年10月22日
オーマガトキ/コロムビアミュージックエンターテインメント


   ノラ・ジョーンズ以降、エヴァ・キャシディなど新世代ジャジー系ヴォーカリストといわれる女性歌手が数多く登場している。エリン・ボーディーはその流れの中の1人に位置付けられているが、3枚目のアルバムを08年10月に日本デビュー盤としてリリース、前2作はシンガーとしてのパフォーマンスで既成曲のカヴァーがほとんどだったが、3作目はシンガー・ソングライターとしての高いポテンシャルを見せるオリジナル・アルバムとなった。アルバム発売記念というわけではないが、この3月に初来日、26~28日の3日間、丸の内COTTON CLUBでライブを行った。

   そのライヴは素晴らしいもので、ジャズというよりは、アメリカン・ルーツ・ミュージックとしてのアイリッシュ、カントリー・フォークといった要素を多分に含んだ、新しいアメリカン・ミュージックの誕生とでもいえる斬新なものだった。

   ライブの合間を縫ってインタビューさせてもらったのだが、ピュアで真摯に音楽と取り組む姿勢が溢れ出てくる内容だった。

   ルーツ・ミュージックを感じたと言うと「そうした民族的なルーツは、捨てることが出来ないものですね。自分自身であるためには必要な要素なのではないかしら。アメリカで良いなと思う点の一つは、皆がそれぞれ別々の言語やルーツを持っていて、その組み合わせから生まれるものは、多彩で新しいということです。それを誰もが持っているんです」と、即座に答えてくれた。両親は、父がドイツ、母がノルウェイの出身で、彼女自身もそうした地域の影響を隠さない。

   ライブでもっとも強く感じたのは「話すように歌う」ということ。逆に話すときは歌うように話す。その印象を伝えると「そう言ってもらえると嬉しいです! 私はとても強く信じているんです、音楽は大切なコミュニケーションの方法だって。言葉で繋がり合えて、そこに音楽が加わることで、一番強い絆を生み出せると思っているんです」と答えてくれた。

   そして、今後の活動を尋ねると、意外にもこんな答えが返ってきた。

   「とにかく続けていきたい。人間として成長し樹木のように枝葉を広げれば、音楽も広がっていくと思います。ミュージシャンとして成長もしたいし、進化を皆さんに見て欲しい。良い音楽をたくさん創っていきたいですね」

   このナチュラルな姿勢は、あまりアメリカのミュージシャンからは受けたことのない、清新かつ精神性の高いものだった。

   新しいアメリカン・ミュージックの誕生といったが、その印象はインタビューでさらに確固としたものになった。

【リトル・ガーデン 収録曲】
1. ニューイングランドの友達
2. チェイシング・アフター・ユー
3. あなたが着ていたセーター
4. リトル・ガーデン
5. ボーン・アット・ザ・ライト・タイム
6. すべてあなたのせい
7. シドニー、下りてきて
8. 心を砕かれて
9. コールド・ウォーター
10. アウト・オブ・タイム
11. フェンセズ
12. グッドナイト
13. ア・ファイン・ライン *
*ボーナス・トラック


◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70〜80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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