RCサクセション『ラプソディーネイキッド』UMCK-1197(2CD+DVD3枚組)4500円08年2月6日発売ユニバーサルミュージック忌野清志郎という人は、イカシタ人だった。残念ながら直接会ったことはないのだけれど、その活動はずっと見てきた。筆者にとっては実のところ古井戸のCHABO(仲井戸麗市)と活動を共にする前のハード・フォークともいえる時代が一番印象深い。その頃は筆者も、仕事ではなく1人のリスナーとして聴いていた頃で「ぼくの好きな先生」は愛唱歌だった。筆者がロック雑誌を編集していた頃は、ちょうどRCサクセションの活動が低迷していた時期で「雨上がりの夜空に」だけが、特に記憶に残っている。忌野清志郎のすごさは、ぶれないことだった。音楽を単なるエンタテインメントとして捉えるだけでなく、明確に自分の意思、生き方を表明する方法論と捉えていたように思う。同時に如何に楽しく観客との場を共有出来るかを考え続けた人だとも思う。実は昔から忌野清志郎という人の筆者にとっての印象は、江戸時代の"町奴"だった。"町奴"は反体制というよりは、幡随院長兵衛を筆頭とする"傾き者"で、化粧をし髪を盛り上げ派手な着流しで往来を闊歩した。忌野清志郎は、何度となく音源の発売禁止というアーティスト・表現者としては致命傷になる措置を受けても、なお生き方を伝え続けた人。大いに被るものがある。TV出演して品行方正とは言いがたい行為で、反社会的であるというような言われ方をされ、雑誌のインタビューかなにかで社会性の有無を聞かれて「あるよ。ある予定だけど、残念ながら社会の方にないみたいね、こっちに対しては」と答えていた記憶がある。まさに"旗本奴"と対立した"町奴"そのものだ。ただし、生きることには真面目な人だったと思う。建前やお為ごかしが嫌いだったんじゃないだろうか。自転車や健康への気配りも有名だったけれど、それは自分のための手入れ。表現者としてのスタンスと、生きるということへの真面目さは、忌野清志郎の生命の同じ根にあるものだったと思う。家族を大事にしたのも同じ。本質的な部分で。おそらくカッコなんてどうでも良かったのだろうと思う。だから逆に、化粧をしたり、派手な衣装を着ていたようにも思える。同時代を生き、先に逝った者を送る立場に立たされた者としては、お疲れさん、というしかない。忌野清志郎という、得がたいけれど、生命論的にいえば仮の衣を脱ぎ捨てて、また新しい衣を着て帰っておいでとエールを送りたい。今回紹介するCDは、1980年4月5日、久保講堂でのRCのライヴ録音盤。それだけです。【ラプソディーネイキッド 収録曲】DISC1(CD)1.OpeningMC2.よォーこそ3.ロックン・ロール・ショー4.エネルギーOhエネルギー5.ラプソディー6.ボスしけてるぜ7.まりんブルース8.たとえばこんなラヴ・ソング9.いい事ばかりはありゃしない10.SweetSoulMusic~TheDockOfTheBayDISC2(CD)1.エンジェル2.お墓3.ブン・ブン・ブン4.ステップ!5.スローバラード6.雨あがりの夜空に7.上を向いて歩こう8.キモちE9.指輪をはめたいDISC3(DVD)1.よォーこそ(イントロのみ)2.エネルギーOhエネルギー3.ブン・ブン・ブン4.スローバラード5.雨あがりの夜空に6.キモちE加藤晋
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