「信号無視」防止カメラ 設置は得? それとも損?

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   トラフィック・カメラ(Traffic camera、別名red light camera)なるものがある。

   これが取り付けてある交差点にて赤信号でぶっちぎると、これが作動し、ストロボがたかれて、運転手と後ろのナンバープレートの写真がとられる。そして後日、忘れた頃に、警察から罰金請求額が記入されたチケットが郵送されてくる。罰金の額は交差点によって違うがだいたい300から400ドル。そして、保険額が上がるのを防ぎたければ、トラフィック・スクールの講義を受講して、交通違反の履歴を消すしかない。

違反何回でチケットが届くかは地域次第

中央やや右の白い柱に筒状のストロボとカメラが
中央やや右の白い柱に筒状のストロボとカメラが

   何回違反すればこのチケットが届くのかは場所によって様々。友人の一人は隣市のコスタ・メサ(Costa Mesa)にある南カリフォルニア最大のショッピングモールで日本人観光客も多く訪れるサウス・コースト・プラザ(South Coast Plaza)前の交差点にて写真をとられ、たった一度の違反でチケットが送られてきたといっていた。いつとられたのか覚えていなくても、警察から教えられるサイトにアクセスすると、自分の車とナンバープレートがしっかりうつっているとか。

   我が家からほど近い交差点もこのカメラが置かれているのだが、そこだと2、3回写真をとられたらチケットが送られてくるときいた。私もそこで一度、夫も一度とられた。とられた瞬間まさに「しまった!」である。運転している自分に向かってまぶしいぐらいのストロボがたかれるからはっきりとわかる。しばらくはいつチケットが送られてくるのかビクビクし、また撮られるのがこわくてしばらく違う道をとおっていた。

   このカメラはあらゆる交差点に設置されているわけではない。交通量が多く、また事故の多い交差点にこのカメラを設置することで、衝突事故を防ごうというものだ。

設置されているのはスピードが出やすい場所

   だいたい設置されている交差点は、フリーウェイが一般道になる、赤信号が長い、下り坂になっていてスピードが出やすいという特徴がある。

   このカメラはコンピューターソフトにつながっており、このソフトは交差点に近づいてくる車のスピードや信号の長さといった要素に基づいてどの車が赤信号を無視して走っていくかを予測するそうだ。

   カメラが設置されてから事故が減ったという報告もあり、世の傾向としては設置が激増しているのだが、つい最近、オレンジ・カウンティ(以下、OC)のハンティントン・ビーチ(Huntington Beach)市は費用と安全性を考慮して「設置しない」の結論を出した。

   この街のビーチはサーフィン目当ての観光客が多く訪れる。70年代の映画「ビッグ・ウェンズデー」の舞台にもなったビーチのあるところでもある。市長は「観光客には400ドルもの信号無視のチケットがあとで送られることによって、ハンティントン・ビーチ市に不快感を抱かれるよりは、いい思い出とともに"また戻ってきたい"と思わせたい」。

カメラ1台あたりの維持費は「月6000ドル」

   費用面でも問題がある。一台あたり月6000ドルもの維持費。交差点によってはカメラを4台も設置しなければならないので、そうなると総費用は2万4000ドル。これらの費用は信号無視でチケットを切られた人たちからの罰金でまかなうことになる。が、だいぶ前に読んだ新聞記事によると、カメラ設置によって無理な赤信号突破が減り、結果、信号無視による事故は減るものの、チケットを切る回数も減ってしまい、収入が減り、カメラの維持費がまかなえない、とあった。

   また大事故は減っても、写真を撮られないように急に止まるため、今度は追突事故が増えるとも言われている。

   今現在、OCでこのカメラを設置しているのはたった5市。それらの市も設置費用が回収できずに問題を抱えているところが多い。2001年に設置してみたものの、すぐに取り払った市も。

   このところの経済悪化により、カリフォルニア州および各市も財政難で、設置予定とされていたのに未だに設置されていない交差点もある。

   初めてこのカメラの存在を知ったとき、明らかに不公平だとおもったのは同じ交差点でも青信号の長さが異様に短い左折レーンにはいったときだ。数えてみると数秒しかない。

   「これはそのうち誰かクレームをつけそうだなあ」と思ったら、あとで「他の交差点の左折レーンに比べて短いのに写真を撮られて、チケットをきられるのは納得いかない」と訴えてそれが認められた人がいた。彼のおかげで、それ以降、カメラが設置されている交差点において、長さの不平等はなくなった気がする。

   ただ、私がよく使う通りはカメラ設置交差点および設置候補交差点が多い。急いでいるとついつい無理にいこうとするような気もして、自分を戒めなければと思っている。2度目のトラフィック・スクール受講は8時間講義ではすまないのだから。

野村香奈

【プロフィル】

野村 香奈(のむら かな)
1970年鹿児島生まれ。上智大学卒業。「AERA」「週刊朝日」で主にエンターテインメントの編集を担当した後、2000年8月に結婚により渡米。ロサンゼルスの日系無料情報誌でライターも経験。趣味はドライブ、おいしいものを食べること、情報収集、そして、MLB(メジャーリーグ)観戦。LA TimesとPeopleを愛読。現在、ロサンゼルス近郊のニューポートビーチ市(Newport Beach)在住。

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