米国発の話題の書『フリー』 発売前にネットで無料公開

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   NHK出版は2009年11月13日、発売前の書籍の全文をインターネットで無料公開する試みを始めた。公開されたのは、米IT誌『WIRED(ワイアード)』編集長のクリス・アンダーソン氏が執筆した新刊本『フリー <無料>からお金を生み出す新戦略』。インターネットで主流になっている「無料サービスから収益を生み出す仕組み=フリーミアム(freemium)」について考察している本で、そのテーマにあわせて自らの書籍の内容も「無料公開」することにした。

   書籍の特設サイト(freemium.jp)にアクセスして、簡単なアンケートと会員登録をすると、巻末付録をのぞく全文(320ページ)が閲覧できる。公開期間は13日から発売日前日の25日までだが、先着1万人の限定公開となっている。開始から1日たった時点ですでに約7000人が閲覧しているので、無料版は途中で「品切れ」となってしまう可能性が高い。

「吉と出るか凶と出るかは、やってみないと分からない」

『フリー』という名の本が、その名のとおり発売前に無料公開された
『フリー』という名の本が、その名のとおり発売前に無料公開された

   『フリー』の原書は米国で09年7月に発売されたが、そのときも発売と同時にネットで無料公開した。2週間の期間中に30万ダウンロードを達成し、大きな話題を呼んだ。有料販売の書籍のほうも、7月末には米紙『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラーリストに登場し、順調な売れ行きをみせているという。

   アンダーソン氏が同書のなかで提唱している「フリーミアム」とは、「フリー(無料)」と「プレミアム(特別)」を組み合わせた造語。基本的なサービスは無料で広く利用できるようにする一方で、一部のコアユーザーに高付加価値のサービスを有料で提供し、収益化をはかるビジネスモデルのこと。ネットではおなじみのビジネスモデルだが、どうすれば実際に「黒字化」できるのかを、アンダーソン氏はさまざまな事例をもとに検討している。

   NHK出版で『フリー』日本語版の編集を担当した松島倫明さんは、

「実際にオンラインでビジネスをしている人やこれから起業を考えている人、会社でネットビジネスの担当になったがうまく収益化できなくて悶々としている人などに興味をもってもらい、ビジネスモデルを考えるヒントとして活用してもらいたい」

と語る。本書自身も「フリー」で全文公開されることになったが、日本の出版界では異例のマーケティング手法だ。「社内でもいろんな意見があった」という。松島さんは

「無料公開が吉と出るか凶と出るかは、正直なところ、やってみないと分からない。予想はつかないが、まずやってみようということです」

と話し、実験的な意義を強調している。

   『フリー』(本体価格1800円)は11月26日に発売されるが、出版を記念して11月20日には東京・青山で、「FREEMIUM HACKS!!(フリーミアムを攻略せよ)」と題したイベントも開催される。『フリー』日本語版の監修・解説を担当した小林弘人さん(インフォバーンCEO)やライブドアメディア事業部長の田端信太郎さんらが「フリーミアム」について討論するほか、パネリストと参加者の「フリートーク」がおこなわれる予定だ。

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