視聴率低下でどうなる? 深夜トークショーホスト

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   昨年同様、年越しは日本で過ごしました。ロサンゼルスとは違う日本の寒さはこたえますが、やっぱりお正月は日本がいい。クリスマスが終わり、年があけるとすぐに平常に戻ってしまうアメリカに比べ、風情がある日本の年始が好きです。夫の実家近くにある南洲墓地に初詣に行き、ついでに西郷隆盛をはじめとする、西南戦争で命を落とした人たちのお墓もめぐってきました。

関係局が視聴率や広告でダメージ

LA Times1面(左)に登場
LA Times1面(左)に登場

   ロサンゼルスから里帰りといえば、ニューヨーク・ヤンキースから松井秀喜選手がうつってくることもあり、「松井がくるねー」といわれました。でも実は複雑なエンジェルスファン心理。放出した選手にかわる補強がされていないからです。若手選手育成には定評があるチームなので大丈夫だとは思いますがどうなることやら?

   さてここのところ新聞をはじめとするメディアを騒がせているのは松井選手もヤンキース在籍時に登場したこともある、深夜のトークショーのホストがかわるという話。

   話題となっているのはアメリカ三大ネットワークの一つ、NBCがロサンゼルスのスタジオで収録し、平日夜11時半から放映している"The Tonight Show"です。

   「キング・オブ・レイトナイト・テレビジョン(king of late-night television)」と言われ、視聴率でも1位をとっていたにもかかわらず、ホストがジェイ・レノ(Jay Leno)から、コナン・オブライエン(Conan O'Brien)にかわったのが去年の6月のこと。

   コナンもその前はニューヨークでNBCの「Late Night with Conan O'Brien」という深夜トーク番組のホストを長く勤めていました。その実績をかわれ、だいぶ前からジェイ・レノにかわって、" The Tonight Show"のホストになるといわれ実現したのですが、NBCの財政面では成功したものの、関係局が視聴率や広告でダメージを受けているそうなのです。

トークショーのほうが安上がり

   というのもジェイ・レノが今、担当している夜10時台のトークショーの視聴率がふるわない。もともと以前は、ERやLaw & Orderといった人気ドラマを生み出していたドラマ枠だったところに、NBC幹部が「改革をする」といってトークショーがはじまりました。次世代の視聴者を考慮してホストも世代交代させようとしたこと、また制作費の面からも、ドラマよりトークショーのほうが圧倒的に安上がりだからです。

   この午後10時からの時間帯はその後にある11時からの地方ニュースに視聴者を呼び込む大事な枠。というのも、その枠は地方系列局にとっては収入の33%をしめるからです。にもかかわらず、ドラマを放映していた前シーズンと比較して視聴率29%の落ち込み。「10時のプライムタイムの視聴率と広告収入がおちたため、その番組に続くニュースの視聴率もさがった」と不満をいっているのは地方テレビ局。

   実は昨年"The Tonight Show"がコナンへと世代交代する直前、NBCではTVCMや雑誌を通じ、「ニューヨークからコナンがくる!」という具合にがんがん宣伝していました。その努力もむなしい結果に。

クビにすると40ミリオンドルの違約金が発生

   私自身はジェイ・レノよりもコナンが好きなのですが、どうも最近のコナンはお疲れ気味。前の番組のほうが生き生きしていたような。

   元の番組に出戻りするジェイ・レノと違い、コナンはまだ行く先が決まっていません。ジェイ・レノが戻ってくる「The Tonight Show」の時間が短縮され、その後に続く新しいトークショーの司会になるかもしれないし、昨日、前アラスカ州知事、サラ・ペイリンをニュース解説者に迎えると発表したばかりのFOXは深夜トークショーをもっておらず、コナンの行く末に興味津々。実はNBCがコナン引き抜きを検討した以前も彼に興味をもっていました。ギャラは25ミリオンドルでも、クビにすると40ミリオンドルもの違約金が発生するNBCは慎重にならざるをえないようです。

   11日の番組冒頭でコナンは視聴者が気にしているだろう自分の進路を思いっきり皮肉ったネタをいくつも披露して笑いをとっていました。

   ウイットに富み、芸能のみならず、政治的風刺にもつよいアメリカの深夜トークショーホストなどは日本のメディアにはいないタイプです。誰かに例えてみてといわれてもなかなかできません。

   深夜ではないものの、ABCで昼の3時からトーク番組をもっているオプラ・ウィンフリーも一見近所にいそうな普通のおばさんっぽくて、親しみを感じるキャラクター。ですが、時折さりげなく見える知的な部分などでうまく同性を惹きつけ、たんなるホストに終わらず、社会的にも影響力のある女性となっています。

   自身が発行人となって雑誌も出しているのですが、この雑誌もちょっと硬派でなかなかおもしろく、日本にはないかんじのタイプです。その彼女も2011年秋には番組を離れることを発表。自身がもつメディア会社からトークショーを発信するのではないかといわれています。

   NBCは午後10時からのジェイ・レノのトークショーの後番組に結局ドラマかリアリティショー、ニュース番組を放映することになるかは未定ですが、いずれもトーク番組よりお金がかかるのは事実。日本同様、以前ほど人の関心がTVに向かなくなった今、アメリカのTV業界も不景気が続くなかで視聴者を呼び戻すための試行錯誤がまだまだ続きそうです。

野村香奈

【プロフィル】
野村 香奈(のむら かな)
1970年鹿児島生まれ。上智大学卒業。「AERA」「週刊朝日」で主にエンターテインメントの編集を担当した後、2000年8月に結婚により渡米。ロサンゼルスの日系無料情報誌でライターも経験。趣味はドライブ、おいしいものを食べること、情報収集、そして、MLB(メジャーリーグ)観戦。LA TimesとPeopleを愛読。現在、ロサンゼルス近郊のニューポートビーチ市(Newport Beach)在住。

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