J-CAST特別インタビュー YAZAWAだけのグルーヴ!!

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31st ALBUM
矢沢永吉
『TWIST』
初回限定盤(CD+DVD)
GRRC-35
3500円
通常盤(CD)
GRRC-36
3000円
発売中
GARURU RECORDS


   昨年、矢沢永吉はR&Rの名盤と呼ぶに相応しい『ROCK'N'ROLL』を発表、09年の音楽界は矢沢永吉の動向を注視し続けた。

   『ROCK'N'ROLL』リリースからは怒涛のように、ドーム・ライヴ、ツアー、武道館5Days、そしてNHK「紅白歌合戦」へのサプライズ登場……。年末に発売されたDVD『ROCK'N'ROLL IN TOKYO DOME』は、オリコンDVDミュージック部門で最年長首位記録を更新、60代での首位獲得は男女・洋楽邦楽含め史上初の快挙と、矢沢永吉の凄さに改めて驚愕した。

   昨年の『ROCK'N'ROLL』リリースの時にも、新星堂の販促誌『DROPS』でインタビューをさせてもらったが、キング・オブ・ロックンロール=矢沢永吉に相応しい「ロックの日」である6月9日のニューアルバム『TWIST』リリースに合わせ、再びインタビューできた。

   『TWIST』は間違いなく、『ROCK'N'ROLL』に勝るとも劣らないR&Rの名盤になっている! この名盤を生んだこの1年の心の内、そして今年の活動の眼目などを、聞かせてもらった。

「『リスナーはどの辺で聴いてるんだ?』と問いかける60歳の矢沢! 良いよね」

――昨年末、NHKの紅白歌合戦にサプライズ出演されました。なにが矢沢さんを動かしたんでしょう?

矢沢 それまでも、ずっと声を掛けていただいていたんですよ。ただ、それは有難いなとは思っていても「矢沢に紅白はないんじゃない?」というのはありましたよ。紅白には申し訳ない、紅白に罪はない(笑)。矢沢永吉と紅白歌合戦は違うでしょう!? というポーズはありました。でもそれももうなにか抜けちゃって。毎年声を掛けていただいてましたから、「やろうよ」と。聞くところによれば60回目らしい、俺も還暦だ、還暦と還暦…やろうよ! 今年を除いては他にはないんじゃないの? 面白がってるんですよ。僕はそれで良いと思ってます。夏フェスに出る、インストアライブも演る、歌合戦に出て歌詞ボロ間違えする(笑)…そういうニュートラルな立ち位置、それは30歳代まではなかった。40歳代でもなかった。やっぱり60歳になって、良い意味での吹っ切れ感みたいなものが出てきたんじゃないですか。

――還暦って、暦が一巡りしてまたゼロから始まると言うことですものね。

矢沢 そう、だから僕は『ROCK'N'ROLL』は2回目のデビューって言ったじゃないですか。でも良いことですよね、あれだけ誰よりも貪欲で、アメリカへ行ったりイギリスへ行ったりして……作り手としては洋楽から入るじゃないですか、やっぱり海の向こうの本場、アメリカですよ。「行けー!」と行って、世界的なプレイヤーと演りましたよ。上手い! 上手いんだけれど、リスナーってどの辺で聴いているのかなという壁にもぶち当たるわけですよ。おかしいな、世界一と言われる奴らと演ってるのに、なにかリスナーはこんな所にいないような気がするぞと、これまた発見があるわけですよ。
   30何年も演っていてリスナーはどの辺で聴いているんだろうと思える矢沢って、良いよね! 60歳になったら盆栽でもいじくるかというタイプもいるけど、「リスナーはどの辺で聴いてるんだ?」と問いかける60歳! どっちも答えだけど、矢沢は盆栽じゃない。「熱いぜー!」と言って、インストアライブを演ってる(笑)。
   そんな矢沢みたいな60歳も良いんじゃないですか? それも、過去の名前にぶら下がってるわけじゃない。本当に野外フェスに出ていく。皆ワーッと大歓声で、本気でノッちゃってるもの。

キャロル時代のキレキレの矢沢がいる、ニュー・アルバム!!

――本当にキャロル時代のキレキレの感じが、新鮮です。

矢沢 あると思いますよ、その感じ。この間ある人に言われましたよ、「こう言うサウンド創れるのは、今は矢沢だけだ」って。こういうサウンドって、確かに今の人にはなかなか出せないと思う。ただ、僕は逆に、そういう世代の人たちが今度のアルバムに「NEW」なものを感じてくれると嬉しいですね。

――大いに感じると思います。ただ、矢沢さんと若い人たちとの差ってなんだと思いますか?

矢沢 なんでしょうね……僕には分らないけれど、吉野家の牛丼で満腹になるような時代にしちゃいけないんだよね……いつの間にか、「自分はこう思う」ということをあまり言わなくなったのかなぁ? そこは良く分らないんだけれど。
   でもその内、行き着くところまで行ったら答えが出るんじゃないですかね。それともうひとつ。僕らの時代、音楽は夢のすべてだったと言っても過言ではなかった。ロック・ミュージックに救ってもらったり、ロックに夢を描くことが出来たし、エスケープすることも出来た。ロックと共に走ることができたと言っても良いくらい、すべてだったかもしれません。それが今は、うすれて来てるかもしれません。
   音楽も携帯電話、インターネット…下手したら音楽だけでもないし。音楽的なものは今言ったものも含めていっぱいあって、「僕はこれで良いや」「私はアレが良い」という時代の中の音楽だから。
   ビートルズが出てきて、キャロルが出ていって「Oh! My God!!」という時代じゃなくなった。娯楽にしても何にしても、一極集中する時代じゃない。僕がどうのというより、あの頃のリスナーにとっては、もう心中しても良いというくらいの価値観が音楽に対してあったじゃないですか。音楽のため、ビートルズのためなら死んでも良いみたいなところがあったよね。今はモノはいっぱいあるし、あれもこれもあるし、逆にどうしたらなにかに夢中になれるか、夢中になる方法が分らないという時代になっちゃったかもしれない。考え方によっては、良いという人も、不幸という人もいるかもしれない。
   熱く語ったり走ったりするのが青春だったのに、少なくなって来てるかもしれませんね。

(取材を終えて)

   今、矢沢永吉というアーティストは、本当の意味のカリスマ性を持っている。何も言わずとも周囲がついて行く。

   語る言葉の一つ一つに、矢沢自身が生きてきたリアリティがあるからに違いない。

   今を語る時も、過去を語る時も、矢沢永吉は同じスタンスで語る。問題は、矢沢永吉にとって「今はどんな時なのか」「過去はどんな時だったのか」ということ……。そこにやはりリアリティがある。

   それは、若い頃からおそらくずっと同じだったのだろう。

   ただ、インタビューにもあったが「面白がって演ってしまう」「良い意味での吹っ切れ感」という今の矢沢永吉の居場所が、これまでと違うのだろう。

   だからニュー・アルバム『TWIST』は、良い意味で力は抜けているのに、瞬間的なパワーと最高のグルーヴがある。

   インタビューは多岐に渡ってのものになった。矢沢永吉の語った全てを知りたければ、新星堂の『DROPS』別冊を併せてお読みいただけば完璧になる。

   矢沢永吉と言うR&Rアーティストの凄さを、また思い知らされた。

<加藤 普>

【TWIST 収録曲】
1. サイコーな Rock You!
2. Shake Me
3. 危険(あぶな)い女
4. 闇を抜けて
5. 古いカレンダー
6. long good-bye
7. ずっとあの時のまま…
8. ワニ革のスーツ
9. 見つめ合うだけで
10. HEY YOU…
11. 「マブ」

◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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