「アキバ」再開発が終わり、見えてきた「問題」と都市の未来

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『秋葉原は今』
『秋葉原は今』

   芸術新聞社は2010年6月21日、新刊本『秋葉原は今』(著・三宅理一、四六判・上製336ページ、定価2730円)を発売し、幅広い層から注目を集めている。

   好評の理由は、単に「萌え系」に関心がある人々が手にとっているからだけではない。同書は、まず、丹念にページをさいて秋葉原の戦後史を振り返る。焼け野原と化した一帯に無線の部品を売るバラックや露天ができはじめ、やがて「家電の街」として世界的に注目が集まるエリアになるのだが、その過程を丁寧に追う。秋葉原には、実は電機関係だけでなく、日本通運本社(03年に東京・汐留に移転)、凸版印刷本社、YKK AP、貝印、龍角散といったさまざまな業種の大企業が本社を置いていて、そこに紹介される歴史的経緯なども興味深い。

   著者の三宅氏は、東大で建築を学び、その後、芝浦工大や慶大、パリ国立工芸院などで教べんをとっている(現在は藤女子大教授)。建築史、地域計画、デザイン理論などが専攻で、秋葉原再開発協議会顧問も経験。同書の後半は、家電からオタクの街へと変遷した「アキバ」の裏側を検証するとともに、三宅氏の専門領域に入り、秋葉原の変貌ぶりや再開発が示唆する都市開発のあり方、秋葉原を通して見る東京のパワーといった部分に言及している。

   芸術新聞社出版部の根本武さんは、

「欧米からは『萌えの街』として、中国からは『電気の街』として定番観光スポットになった秋葉原は、日本人が思うよりはるかに、世界から注目を集めています。この本は、駅前に建つモダンなビルの裏に、闇市的な混沌(こんとん)を抱える奇妙な街の戦後史を面白くまとめ、そこから秋葉原駅前再開発の裏面までを暴いて、日本の再開発の問題点を検証しています。ここまで俯瞰(ふかん)して秋葉原を論じた本は、かつてなかったと思います」

と話す。

   なお、7月23日には、東京・八重洲の「八重洲ブックセンター」(本店8階ギャラリー)で18時半から「三宅理一さん講演会」が開催される。募集人員は100人(申し込み先着順)。申し込みは1階レファレンスコーナーか電話(03-3281-8201)で。

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