2024年 4月 26日 (金)

迷える羊に与える「生きるチカラ」

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たどり着いた究極の思考法
たどり着いた究極の思考法

   「生き方」に迷っていませんか? 就職がない、運がない、働いてはいてもお金が貯まらない、彼女・彼氏(嫁、夫)もいない、酒も飲めなきゃ人望もない・・・なんてことになれば、ひきこもりたくもなる。実際、ひきこもりは10代よりも20代、30代のほうが多いらしい。特に、そういった人向けというわけではないが、2010年7月16日に集英社新書から発売された「生きるチカラ」(著・植島啓司)は、読んで元気が出る本として人気になっているようだ。

   著者・植島啓司氏は宗教人類学者。東大、東大大学院、シカゴ大学大学院留学を経て、関大教授、ニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ客員教授、人間総合科学大学教授などを歴任、1970年代から現在まで、世界各地で宗教人類学調査を続けている。ここまで聞けば「エリート学者」だが、「ぼく自身、どうしようもなくお金がなくなってしまったことがこれまでにも幾度かある」というのだからユニークだ。最近では2003年春だったそうだが、このときは講演やテレビ・ラジオのコメンテーター、新聞などでの競馬予想など、すべての仕事から「引退」したのが理由とか。結局、このとき植島氏はお金を極力使わないようにし、毎日図書館で好きな本を読み漁った。

   この本で植島氏は、現代社会で、無理なく、楽しく、安らかに生きるすべについて、自身が読んだ書物の一節を引用し、植島流の解釈で「説法」している。山本周五郎「柳橋物語」、井原西鶴「西鶴置土産」、バルザック「あら皮」、井波律子「酒池肉林」、宮崎市定「中国における奢侈の変遷」、山本東次郎「狂言のすすめ」・・・と、多彩だ。また、書物だけでなく、世界で起きた出来事を持ち出してきての主張も面白い。

   「表面的な成功に一喜一憂すべきではない。それがわからない人は永遠に人生がわからないということである」という植島氏の言葉も、結構深いのである。

   224ページ、定価735円。

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