2018年 7月 16日 (月)

「一〇〇年前の女の子」は強かった、そして豊かだった

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「一〇〇年前の女の子」
「一〇〇年前の女の子」

   知らなくてもいいことなのかもしれない、でも、知ったらその瞬間からどこか心が豊かになる。そんな貴重な本とは、講談社から2010年6月15日に発売された『一〇〇年前の女の子』だ。

   著者は、東大大学院・船曳健夫(62)教授の姉でフリー編集者の船曳由美さん(71)。タイトルの「一〇〇年前の女の子」は、由美さんの母・寺崎テイさん(100)のことで、テイさんが栃木・足利の高松村に生まれてから少女時代に見聞きし、体験したことが、細かく、また表現力ゆたかに綴られている。

   母親は実家でテイさんを生んだが、どうしても嫁ぎ先になじめず、赤ん坊だけ届けて自分は二度と戻らなかった。よって、テイさんは母の顔を知らない。テイさんの父親が再婚したため不遇な境遇の中で過ごすが、少女はのびのびと成長していった。

   ランプの火屋(ほや)掃除やふろの水くみなど農家での子どもの手伝い、竹皮に包んだ握り飯を抱えての遠足、学校帰りのイナゴとり、農家にとってもっとも大事な行事ともいえる井戸替え、十五夜に庭先で家族とともに打つ拍手(かしわで)・・・。高松村で送る暮らしの描写には、日本の「原風景」ともいえるエスノグラフィーが詰まっている。その「原風景」の中でテイさんが何を感じ、何を学んだかを、「100年」が経過したいま、改めて我々は知り、学ぶべきなのかもしれない。

   単行本、290ページ。定価1680円。

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