Jazzボーカルの「女神」たちに捧ぐ ジェイミー・ポール『At Last』

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ジェイミー・ポール
シングス・スタンダーズ・ウィズ・ビージー・アデール
TOCJ-66539
2100円
9月8日発売
EMIミュージック


   以前にも当コラムで書いた記憶がある。ジャズファンには袋叩きにあいそうだが、ジャズはどうも好きになれなかったことを。

   おそらくは筆者が多感な青年期を過ごした1960年代後半から80年頃までの時代、ジャズがモダンジャズ最盛期から下降に移った時期でもあったからだろう。ことに60年代は巷にあふれるジャズ喫茶へ出向いても、なにか陰鬱として楽しめなかった。

   頭でっかちにしたり顔でいる友人のジャズと向き合うスタンスは、カッコいいような、でも排他的で閉鎖的な、よく考えれば面白くもなんともない音楽の聴き方のような気がしてならなかった。ジャズはそういう音楽だという先入観は、ことモダンジャズに関しては抜けなかった。

   ところが、女性ジャズ・シンガーの歌を聴くスタンスだけは、まったく別物だった。それはビリー・ホリデイの歌の存在が大きい。ジャズというよりもむしろ、上質な歌を聴いている感覚の方が強かった。その流れの中で、サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルド、アビー・リンカーンなどと出会っていく。

女性ジャズ・ピアノの第一人者ビージー・アデールも参加

   ここに、かなり上質な女性ジャズ・ヴォーカル・アルバムがある。ジェイミー・ポールの『At Last』という輸入盤。昨年の冬に日本で発売されたものだ。

   なにが秀逸かといって、13曲すべてがエラやサラ、ビリーはじめ、エッタ・ジェイムス、ジュリー・ロンドン、ペギー・リー、パッツィー・クライン、ダイナ・ワシントン、ドリス・デイ、リナ・ホーン、ローズマリー・クルーニー、ジョー・スタッフォード、ジュディ・ガーランドといった偉大な先達女性ヴォーカリストに捧げられ、その歌の味わいは、偉大な先達女性ヴォーカリストたちを髣髴(ほうふつ)させるような聴き応え。

   さらにこのアルバムには全曲、女性ジャズ・ピアノの第一人者といってもいいビージー・アデールが参加している。これも聴きモノ、聴きドコロ。ゆったりとメリハリのある良いアルバムです。

   で、この9月8日には『At Last』が日本盤『シングス・スタンダーズ・ウィズ・ビージー・アデール』となって発売されたばかり。実はさきのビージー・アデールのニュー・アルバム『マイ・ピアノ・ジャーニー』も同時期に発売されるが、こちらでもじっくりと彼女のピアノを堪能できる。お得な感じがするのは筆者だけ?

   輸入盤の曲には元々、ビル・ウィザースの曲でアル・ジャロウがヒットさせた「エイント・ノー・サンシャイン」がプラスされ、全14曲収録されている。なぜかこの曲だけ女性ジャズ・ヴォーカリストのものではないが、それはそれでアリだ。

加藤 普

収録曲】
1. 虹の彼方に
2. 縁は異なもの
3. ラヴ、ユー・ドント・ドゥー・ライト・バイ・ミー
4. クレイジー
5. センチメンタル・ジャーニー
6. ユー・ビロング・トゥ・ミー
7. フィーヴァー
8. サマータイム
9. ストーミー・ウェザー
10. ローラの望むままに
11. アット・ラスト
12. クライ・ミー・ア・リヴァー
13. ラヴァー・マン
14. エイント・ノー・サンシャイン

◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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