【書評ウォッチ】「地球」「世界」「夜明け」を切りとる 個性的な写真集を楽しもう

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   【2012年4月1日(日)の各紙から】写真集を数紙が紹介した。それぞれの写真家たちが個性的な視点で「地球」「世界」「夜明け」などを写し撮っている。もともと出版物の重要なジャンルの一つ。コーナーを常設する新聞もあるが、撮影に時間と労力と機材がかかるので、本の値段が一部を除いてどうも高め。そこを乗り越えられれば、だれもがもっと手軽に楽しめる。

「広大な時空に遊べる」風景を

   『地球全史』(写真・白尾元理、解説・清川昌一、岩波書店、4620円)が、毎日に。「世界中を撮り歩いた、地球史のアルバムだ」と、国立天文台名誉教授の海部宣男氏が評している。巨大にそそり立つドーバーの白い崖、単細胞生物の微化石が見つかった西オーストラリアのチャイナマンクリ-ク、エジプトの砂漠に横たわる化石のクジラなど、「地球史・生物進化史の広大な時空に遊べる」うえに、風景としても楽しめるという。

   しかし、その写真が一枚も紙面に載っていないのは、どういうわけか。写真のない写真集紹介は、牛丼や肉丼のない吉野屋のようなものだ。編集上の誠意を疑う。

   読売は、都写真美術館編の『幻のモダニスト 写真家堀野正雄の世界』(国書刊行会、3500円)をとりあげた。都市の速度感や空間の複雑化に即応して、先鋭的な視覚を追求したという堀野の回顧展カタログをかねた関連出版。このところ再評価される写真家だ。

写真絵はがきを使いきると豆本になる企て

   『世界を見に行く』(石川直樹著、奥野武範構成・文、リトルモア、1890円)が、朝日にある。石川氏が撮った世界各地の写真。横長の各ページが写真絵はがきと奥野氏の短いエッセイからできている。石川、糸井重里両氏による後書きも。境にはミシンが入り、絵はがきを使いきると豆本ができあがるという凝った作りだ。

   「ほぼ日刊イトイ新聞」の連載をまとめたもので、ウエブ上でも見られるが、「そこにモノとしての見事な手ごたえを与えている」「インターネット時代における書物の可能性を示す企て」と、評者の北澤憲昭氏は位置づけている。

   日経は、山内悠著『夜明け』(赤々舎、3800円)を。富士山7合目の山小屋に約5カ月、のべ600日間滞在して、染まる空や雲海を撮影した。「大自然が織りなすドラマ」という無署名の評は、やや物足りない。もう少し内容を紹介したらいい。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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