【書評ウォッチ】身近になるかLCC 乗りこなしガイドやビジネス解説

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【2012年5月6日(日)の各紙から】LCC「格安航空会社」元年。日本でも今年やっと、安い航空運賃が広まり始めた。3月にピーチ、夏にはジェットスターやエアアジア・ジャパンと参入が続く。「安かろう、悪かろう」のイメージをのり越えて新しい客層を掘り起こせるか、利用者にとって使いようはどこまであるのか、日経に関連本が紹介された。従来の高すぎる運賃にうんざりさせられてきたぶん、読む意味はある。空の旅がグンと身近になる気配は、まちがいなく強まっている。

これまでの航空会社とどうちがう?

『激安エアラインの時代』
『激安エアラインの時代』

   LCCは日本人の生活をどう変えるか。『激安エアラインの時代』(杉浦一機著、平凡社新書)は、人々の行動範囲が一挙に広がると予測している。都会人が週末に大自然を楽しむ、サッカーのサポーターが試合について回る、誕生日や結婚記念日にちょいと行楽地や海外へ……など。交通費がかさむ地方企業・地方経済にとっても朗報だという。

   しかし、「真価は実際に乗ってみて」と、評者の日航OBでもある戸崎肇・早大教授。ガイドブックとして『LCCを使いこなす99の情報』(航空経営研究所編著、二見文庫)をすすめている。

   これまでの航空会社とどうちがうのか。『「格安航空会社」の企業経営テクニック』(赤井奉久、田島由紀子著、TAC出版)はビジネスモデルから解説した。一機あたりの座席数を増やし、少ない費用で多くの座席を売る。航空機をできるだけ稼働させようと地上での駐機時間を短くする。機内清掃をくふうし、荷物の積み下ろしを減らすために預かり料を高くするなどのあの手この手。機内販売や優先搭乗などの追加料金もあり得る。

   低コスト実現に大きいのは空港の使用料。エレベーターなどを取り除いたLCC専用ターミナルの建設も進む。赤字必至だった地方空港がLCCに活路を求める動きも加速中。『新しい空港経営の可能性』(野村宗訓編著、関西学院大学出版会)はここを論じた。

   話題をとらえたタイムリーな案内だが、専門家の評は論文調の書き方が抜けない。各書の注意書きは執筆年次より価格を示す方が読者に親切だろう。一段落が20数行もあるのは、なんとも読みにくい。担当編集者も読者のことまで、少しは気配りしたらどうだ。

ミステリー「マルタの鷹」を純粋英文学者が分析

   ほかには、朝日の『「マルタの鷹」講義』(諏訪部浩一著、研究社)がおもしろい。ミステリーマニアとしてではなく、純粋に英文学者の立場から精密に分析した。ただ、逢坂剛氏の評は、半分が小説そのものへの感想で、掲載書のことではない。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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