東京・日本橋の百貨店「三越」の向いに、奈良県の情報発信施設「奈良まほろば館」がある。鹿と大仏をかけあわせたような姿でなにかと話題をふりまいたキャラクター「せんとくん」も健在で、入り口でせんとくんの像が出迎えてくれる。飛鳥・奈良時代の「日本最初のチーズ」奈良の吉野杉でつくられた木箱の中に収まるまほろば館では観光情報や文化講座などを提供するとともに、奈良の物産(せんとくんグッズも)を販売している。飛鳥、奈良時代の古都にふさわしく、古代のご当地グルメな食べ物もあった。それは「蘇」である。牛や山羊の乳だけを加熱して、手間暇かけて10分の1に濃縮したものだ。飛鳥・奈良時代にはじめてつくられ、日本最初のチーズなどとも言われるそうだ。当時は大変貴重な高級品で、貴族の宴席などで供され、薬効も期待されたという。現代には、この蘇を再現するところがいくつかあり、まほろば館では、奈良県葛城市のラッテたかまつが製造する「古代の蘇」(50グラム1050円:要冷蔵)を販売していた。甘みのないミルクキャラメルのよう見た目はクッキー菓子のようだが奈良の吉野杉でつくられたという木箱のなかには、四角い茶色の固まりが鎮座している。原材料は生乳100%。見たところは、キャラメルやクッキー菓子のようだ。口にすると、ねっとりとしつつ、全粒粉のクッキーのようなザラリとした感触が残る。薄味のチーズのようであり、甘みのないミルクキャラメルやミルクジャムのようでもある。濃厚な味に慣れている現代人の舌には、プリミティブで物足りなくも思えるが、まだ甘味を濃縮できなかった古代人は、蘇に含まれる乳の甘みを非常に喜んだらしいという。そうしたエピソードを知って、いにしえの宴席に思いをはせたりすれば、舌の上の「味」以上の味わいと感慨が深まるかもしれない。蘇はそんな歴史グルメな一品である。商品名:古代の蘇製造:ラッテたかまつサイズ:50グラム価格:1050円
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