2020年 8月 8日 (土)

【書評ウォッチ】ベストセラーは「人」と「紙」 『聞く力』『舟を編む』の共通点

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   2012年も最終盤の各紙読書面は、「今年売れた本」「今年最高の一冊」などと総括的な特集がならぶ。ベストセラーとなった『聞く力』『舟を編む』に共通するのは、デジタル時代なのに「人」や「紙」にかかわる点だ。

   人の話を聞く、紙の辞書を作る。肌の感触・温もりを求める思いが、誰の心にも強く生き続けているということだろうか。【2012年12月23日(日)の各紙からII】

なぜかデジタル時代に

『聞く力』(阿川佐和子著、文春新書)
『聞く力』(阿川佐和子著、文春新書)

   本の売れ行きは2012年も長期低落傾向に歯止めがかからず、今年はミリオンセラーなしかとも言われた。12月に『聞く力』(阿川佐和子著、文春新書)がようやく100万部に達し、朝日、読売とも読書面締めくくりのトップ記事にこの本を加えた。

   聞き方の極意、すなわち話し方はこうしたらいいですよといった内容。「具体的で分かりやすい。日常で役立つ本」と、掲載された読売読者の声が人気の理由を物語っている。デジタル時代だからこそか、「人との接し方」に関心が集まった。

   『舟を編む』(三浦しをん著、光文社)も、両紙に載った。国語辞典の編集をテーマにした小説だ。ここでもなぜか、電子書籍やソーシャルメディア全盛の時代に「紙の辞書」。取り組む人たちの奮戦ぶりがうけた。アナログへの郷愁だけでは、もちろんないだろう。ヒットの深い理由はどこに? おもしろい。

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