日本を襲う中国の大気汚染 「打つ手あるのか」を考える

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   中国の大気汚染が深刻な状況だ。汚染物質は偏西風に乗って日本にもやってくる。政府も対策に取り組んでいるが、国内だけで解決できる問題ではない。国境を越えた「環境共同体」という考えも出てきた。政治的緊張が続くなか、環境問題での国際協力は可能なのか。J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(https://www.j-cast.com/bookwatch/)でも特集記事を公開中。

国家の枠超えた対策の重要性

『環境共同体としての日中韓』
『環境共同体としての日中韓』

『環境共同体としての日中韓』

   環境汚染に国境はない。中国の大気汚染が日本を襲うように、一国の汚染は隣国にも深刻な影響をもたらす。集英社新書の『環境共同体としての日中韓』(監修・寺西俊一、735円)は、地理的に近接する日本、中国、韓国は環境面においては密接な共同体であるとして、国家の枠を超えた対策が重要だと指摘する。

   大気汚染ばかりではない。酸性雨被害、土壌汚染、海洋汚染、森林破壊……急速に経済発展を続ける東アジアには、かつて高度成長期の日本で起きたような環境破壊が進んでいる。尖閣諸島や竹島問題などで政治・外交関係がぎくしゃくしているなか、環境問題が相互に影響し合う現状を示し、環境共同体としての日中韓に課せられた未来に向けての取り組みを探る。

中国の知られざる汚染実態

『中国汚染 「公害大陸」の環境報告』
『中国汚染 「公害大陸」の環境報告』

『中国汚染 「公害大陸」の環境報告』

   中国の大気汚染による影響は6億人に及ぶといわれる。彼の国の環境汚染は一体どこまで深刻なのか。都合の悪いことは公表したがらないお国柄で、本当のところはなかなか伝わってこないのが実情だ。ソフトバンククリエイティブのソフトバンク新書『中国汚染 「公害大陸」の環境報告』(著・相川泰、767円)は、いまや「公害大陸」と呼ばれる中国の知られざる汚染の実態をレポートしたものだ。

   世界を震撼させた吉林省の化学工場の爆発事故とそれによる河川の大規模汚染や、水汚染が原因とされる「がん」が多発する「がん村」の存在など健康被害も進行し、汚染を訴える抗議行動は激しさを増している。著者は中国への留学経験をもち、『環境共同体としての日中韓』の筆者の1人でもある。中国汚染の全体像と背景に迫る。

小説家が描いた衝撃的「実態」

『複合汚染』
『複合汚染』

『複合汚染』

   農薬や洗剤が河川や土壌を汚染し、食の安全や健康を脅かす――誰にもわかりやすい生活者の視点で、ノンフィクションを書くように目の前の疑問に体当たりしていく。新潮文庫の『複合汚染』(著・有吉佐和子、882円)は、今から40年近く前に朝日新聞に連載された新聞小説だ。高度経済成長の歪みが公害となって噴き出し、利便性や効率優先を問い直す時代だった。小説家が公害問題を追及する作品として注目されたが、複合汚染の衝撃的な実態が次々に明らかにされるにつれ大きな反響を呼んだ。

   虫食い野菜や果物、食品添加物、堆肥と科学肥料など身近なところから食物や生態系について関心と論議を呼び起こし、有機農業にも大きな影響を与えた。公害や環境問題を考える上で、今なお欠かせぬ一冊といえよう。

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