【書評ウォッチ】アップルやサムスンになれず凋落 日本の電機メーカーなぜさえないのか 

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   電機メーカー各社の経営がさえないことは、もう誰もが知っている。でも、世界最高の技術水準にあるはずの基幹産業がなぜ? そう聞かれると、首をかしげて腕組みする人も、まだいっぱいいるのでは。凋落原因の整理・検証を試みた『日本の電機産業』(泉田良輔著、日本経済新聞出版社)を日経新聞が読書面の無署名記事で。

   「技術だけでは勝てない」と見抜いたアップルやサムスンと、強みを見出せなかったシャープやパナソニック。この仕分け方が的確かどうかは議論のあるところだが、再生への方策をさぐる動きはいくら出てもいい。【2013年6月9日(日)の各紙からII】

何をして、何をしないかが勝負

『日本の電機産業』(泉田良輔著、日本経済新聞出版社)
『日本の電機産業』(泉田良輔著、日本経済新聞出版社)

   著者は元アナリスト。外国人投資家が日本の電機メーカーを「Big Uglies」(図体はでかいが、どうしようもない)と言うのを聞いて、非常に悔しかったと本の前書きにある。

   しかし、日本の電機産業は復活できるとも著者は書いている。今がその好機だと強調する。アメリカのメーカーが技術開発からアフターサービスまで競争力のあるものを社内に残して、ないものは外部に任せることで競争をうち勝つ仕組みを築いてきたように、ハードウエアの製品開発力を生かす仕組みづくりを急げという主張だ。何をして、何をしないかを決めることが勝負を分けると説く。

   凋落原因については、いろいろ言われている。中には、「日本の技術力が最高だ」と思いこむこと自体が間違いだとの見解も。いや、技術力はあったのだが、あまりに凝りすぎて一般消費者が欲しない微細な装備開発に偏ってしまったせいだとの見方もあるらしい。

   だから、そこそこの基本性能に絞って安く売る韓国製品にやられたというのだ。エンジニアのまるで趣味のような部分にコストをかけて「さあ、買え」では、それは売れないだろう。アップルが重視したデザイン価値の問題もある。このあたりの議論がどこまでつくされたか。日本勢の力が効果的な方向へ発揮されることを祈らずにはいられない。

最後の成長市場「非正規経済」とは

   『見えない巨大経済圏』(ロバート・ニューワース著、東洋経済新報社)を森健さんが朝日新聞で紹介。麻薬や売春、人身売買といった闇経済のことではない。アフリカ、中国、ブラジルなど世界各地の都市で、未登記で規制も税金も逃れて動く「非正規経済」だ。

   一つひとつは小規模でも創意と工夫に富んでいる。システムDと呼ばれ、世界の労働者の半数が従事しており、規模はアメリカに次ぐ第2位に相当すると本は推定する。これぞ最後の成長市場かもしれない。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

   J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ」でも記事を公開中。

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