日本の原風景、失われるその前に 安野光雅が初の画文集

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   なぜだろう、初めて見た風景のはずなのに、なぜか懐かしい――国際アンデルセン賞画家賞の受賞などで知られる画家・絵本作家の安野光雅さんが、初の画文集『原風景のなかへ』(山川出版社)を出した。日本の原風景を求め、各地を訪ね歩いて描いた絵やエッセイをまとめている。

阿蘇・根子岳など34の場所

『原風景のなかへ』
『原風景のなかへ』

   安野さんが描く水彩画は、淡い色調や繊細なタッチが特徴的だ。『街道をゆく』(司馬遼太郎)の挿絵などで知られる。本書では、冒頭の熊本県の阿蘇・根子岳から始まり、奈良県明日香村まで34の場所が描かれ、それぞれに短いエッセイがついている。

   たとえば「富士のふところ 静岡県三島」の文では、子どもの頃に聞いた「三島」が登場する言葉遊び風の民謡や、広重の浮世絵「東海道五十三次」、20世紀のトンネルの話などを重層的に取り挙げつつ、自身の現地入りの思い出も語っている。

   安野さんは「あとがき」で、日本の原風景は失われようとしていると指摘。

「例え貧しくても、自然の風景の中に住んでさえいれば、そこは本当に安住の地なのであることを、(後悔と共に)早く気がついた方がいいのにと思っている」

と記している。

   本書は、共同通信社が配信した原稿を再録した。2013年7月発売。1680円。

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