【書評ウォッチ】よくもまあこんなに調べたゴシップ「500年分」 猟奇殺人・インチキ交霊術・遺産争い...

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   奇書とういものがある。珍しいだけでなく、よくもまあこんなに調べたなといった感嘆と一種の共感がついて回る本だ。どうやらそれの一つらしい『三面記事の歴史』(ロミ著、国書刊行会)を読売新聞が。三面記事そのものがもともと人の関心をひきつけるシロモノだが、そこに人間の愛憎や時代社会が反映されているから面白い。それを好事家が集めて、ぶ厚い一冊にした。フランス中心なのは残念だが、盛られた不倫、トラブル、奇怪な行動はどこの国にもありそうな。人の愚かさは万国共通か。だったら、いがみ合うこともないだろうに。いや愚かだからいがみ合うのかな。【2013年11月3日(日)の各紙からⅡ】

マスコミの軟派な歴史としても

『三面記事の歴史』(ロミ著、国書刊行会)
『三面記事の歴史』(ロミ著、国書刊行会)

   集められたのは、中世から現代まで500年にわたるフランス製ゴシップ記事。250の図版つきときている。著者は、本名をロベール・ミケルといい、シュルレアリスム系の雑誌を発行する。人間の奇行、世間のかくされた面などの事象コレクターで、『突飛なるものの歴史』『おなら大全』などの、これも奇書で知られる。

   三面記事というのは日本でつくられた言葉だそうだが、記事の意図や中身はフランスも日本も五十歩百歩。猟奇的殺人、色恋沙汰と不倫騒ぎ、インチキな交霊術、膨大な遺産相続争いと実にさまざまだ。

   くだらないと言えばそうかもしれない。が、それですむわけでもない。だから俗な興味を刺激し、だからこそ記事になってきた。愛憎と愚行の人間ドラマ史とも読めるし、マスコミの軟派な歴史として資料価値も高い。そのためか、10月には朝日や日経新聞でも読書面にとり上げられた。読書家先生方の関心までもくすぐっている。

偽造ネタも暴露して時代を映す

   で、「偉人や偉業もいいが、たまにはこんな変化球も悪くない」とは読売評者の西洋美術史家・岡田温司さん。単純な記事の寄せ集めではなく、この本が偽造ネタも暴露している点も高く評価する。戦争のたびに繰り返された愛国者の英雄話は、戦争中の日本を思わせる。もちろん日本以外もそうだろう。この点でも、三面記事は時代や体制を映す。

   さらに、本は三面記事をヒントに創作したスタンダールやフローベルにも触れていて、とことん紹介しつくす筆者の姿勢は、好事家・ものずきの名にふさわしい。

   ほかには『日本の立ち位置を考える』(明石康編、岩波書店)が朝日と日経に。

   日米とアジアの有識者19人によるシンポジウムをまとめた。安保が議論の中心で、日米・日中関係の多様な視点と思惑が交錯する。評者は朝日が渡辺靖さん、日経は無署名。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

   J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ」でも記事を公開中。

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