【書評ウォッチ】女である自分を売りにする? 「アキンド」と「サムライ」の女性分類

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   女性をめぐる話題や議論。その変遷に独自の視点をプラスしてまとめた『日本の女は、100年たっても面白い』(深澤真紀著、KKベストセラーズ)が、男が読んでも、タイトル通りおもしろい。明治から平成まで、女を売り物にするかしないかできっぱり分類、女性100年の生き方をひも解いていく。抑圧あり解放あり、そして花開く時代かと思えば「こじれ」も発生。平塚らいてうから山口百恵、さらにAKB48までの有名人も登場。モガ、オヤジギャルなどの流行語も切りとってみせる。【2014年5月11日(日)の各紙からⅠ】

時代を象徴するさまざまな女性像

『日本の女は、100年たっても面白い』(深澤真紀著、KKベストセラーズ)
『日本の女は、100年たっても面白い』(深澤真紀著、KKベストセラーズ)

   著者は「草食男子」の名付け親でもあるコラムニスト。女性の生き方が多様になったという読み物は数あるが、「アキンド女」と「サムライ女」に分けたことがなんといっても、この本の中核をなす。「アキンド」とは読んで字の如く商売人のこと。女である自分を強調して売りに出る女性とその対極にある「サムライ」の生き方。コントラストがきいて、わかりやすい。

   これ、うっかり言うと女性差別のお叱りを受けそうで、なかなかできない指摘なのだ。デリケートな一面を遠慮なくついて、男性・女性どちらの共感も得られそうだ。もちろん反発、反論もあるだろう。まじめな議論のきっかけになるといいが。

   そのうえで各時代を象徴するさまざまな女性像を挙げるのも特徴。市川房江、白洲正子、高峰秀子、瀬戸内寂聴、ユーミン、西原理恵子ら。解放運動家もいれば、漫画家も。選択は著者の主観だが、女性の社会進出ぶりを語ってもいる。

   もう一章は「俗な男女」をめぐる用語集に。女性たちの動向がいかに人々の関心をひきつけ、鋭い造語がどこまで大きな反響を呼んできたかがわかる。無署名の書評が朝日新聞に小さく載っている。

汽水の匂う国を歩いた名エッセー

<もう一冊>『日本<汽水>紀行』(畠山重篤著、文藝春秋)が毎日新聞に。川と海が交わる汽水域を、気仙沼でカキ養殖をする著者がたずね歩いた。豊かな生き物たちの姿に感心し、上流と下流の調和を説く。

   日本の自然を見つめた名エッセー。「この国はどこに行っても汽水の匂いが漂う」という著者の言葉に読者はうなずいてしまうはずだ。

   「流域を一つながりのものとして捉えることの大切さ」と、評者のノンフィクション作家・稲泉連さんが薦めている。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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