【書評ウォッチ】精巧な特撮技術プラス人間ドラマ ゴジラの原点は日本人の感性

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   今年は「ゴジラの年」だそうだ。生誕60周年、アメリカ版映画の新作も公開された。精巧な特撮模型や人間ドラマという日本生まれ・本家ゴジラの魅力を『円谷英二の言葉―ゴジラとウルトラマンを作った男の173の金言』(右田昌万著、文春文庫)と『「ゴジラ」とわが映画人生』(本多猪四郎著、ワニブックスPLUS新書)が指し示す。日本映画人のすぐれた技術を示し、原水爆や平和への思いを静かに語ってくれる。【2014年7月27日(日)の各紙からⅠ】

破壊シーンも「わざと壊すんじゃないよ」

『円谷英二の言葉―ゴジラとウルトラマンを作った男の173の金言』(右田昌万著、文春文庫)
『円谷英二の言葉―ゴジラとウルトラマンを作った男の173の金言』(右田昌万著、文春文庫)

   現代の大都市を巨大怪獣がたたきこわす。パワーとスケールをこれでもかと見せつけるアメリカ版のもとにある日本版特撮映画は、細部にまでこだわった模型の街に、昭和の東京・品川駅や日劇をとことん正確に再現していた。初期は白黒画面だが、カラーを上回るリアリティがあふれていた。「技術自体がスターである映画を作ってみたい」という円谷監督の言葉に、納得するファンは多いだろう。

   限られた予算と、それもあって第一作は半年という短期間で作るしかなかったという。「まず『出来る』って言う。方法はそれから」「金に困ったら発明してたね」などの言葉は、現代人がどこかに置き忘れたしたたかさに通じる。

   破壊シーンも、ただ「わざと壊すんじゃないよ」の一言に戦争や文明への意志がこもる。水爆実験で地上に現れたというゴジラ出現の設定に反戦・反核や環境破壊に対する思想までを読みとるかどうかは、もはや観る側の問題だろう。

経済日本への警告だったとすれば

   日本版ゴジラのすぐれた点は、特撮以外の人間ドラマにあるとも評価されてきた。これを求め続けたのが、特撮の円谷監督とコンビを組んだ本多猪四郎監督だった。父と娘世代間のズレや、破壊兵器の使用に悩む科学者の姿に、日本映画人の感性がにじむ。

   ゴジラ、ラドン、キングギドラなどの怪獣たちを経済繁栄に走り始めた昭和日本への警告だったとすれば、その後の公害や原発事故をどう考えたらよいのだろう。

   「その後の怪獣特撮映画は、ゴジラのなかに眠っている要素を拡張したり、ときには反発しながら作られてきた。そういう意味で原点なのである」と、毎日新聞の評者・小野俊太郎さん。初期のシナリオを収めた『ゴジラ』(香山滋著、ちくま文庫)は品切れという。では、普通の人がどうすれば読めるかまで書かなければおかしい。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

   J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ」でも記事を公開中。

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