週刊「日常は音楽と共に」...本田聖嗣
雨と雨だれのプレリュード

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   日本は梅雨や秋の長雨、という言葉があるように、雨の多い国です。ところが今年は、例年と違って、激しい雨が多くなっています。いつもなら、しとしとと、細かい雨が蒸し暑さと共に続くのが通例ですが、ゲリラ豪雨といわれる、特別な激しい雨が雷と共にやってきたり、集中的に雲が発生して、その豪雨があたかも重なったかのような、激しい雨の連続がおこり、各地に土砂災害などをもたらしています。梅雨だけでなく、夏の太平洋高気圧が弱く、上空に寒気...春や秋の空気といってもいいかもしれませんが...が居座っていて、大気が全体として不安定になっているのが原因です。地球は温暖化しているので、このような異常気象が起こるのだ、という主張がある一方、私は、なんだか、地球が寒くなっているような気がしてなりません。

「水」中心の日本料理 ヌーベルキュイジーヌのヒントにも

ショパン 雨だれの前奏曲の楽譜
ショパン 雨だれの前奏曲の楽譜

   雨は日常生活には、うっとうしいものですが、日本の天からの水分補給が、日本の豊富な農作物の実り、特に、米の生育を助けているわけであり、世界的にも恵まれている真水の豊富な環境を作ってくれています。日本料理は、フランス料理に比べても、「水」を中心とした料理だな、とフランスの料理番組を見ていて思います。伝統的なフランス料理は、水よりも、牛乳から作られるクリームを多用します。だから、重たい料理になることが多く、それへの反発から、ヌーベルキュイジーヌが生まれてきたわけですが、そのヒントになったのが、懐石料理などに代表される日本料理だった、というのも必然のような気がします。水は、それ自体は無味無臭ですが、人間の体の最も大切な部分、でもあるわけですから、料理でも一番重要な素材、ということですね。

美しい光景に誘う「雨だれ」のリズム

   地球の水分循環の中で、人間に真水をもたらしてくれる雨、これを描いた曲はたくさんありますが、ショパンの「雨だれのプレリュード」はいかがでしょう? おそらくクラシックの中でも1,2を争う名曲です。自身の病気療養と、ジョルジュ・サンドとの恋の逃避行という2つの意味を持って、地中海のマヨルカ島に滞在したショパン、そこの修道院で、雨を、または雨漏りを、目撃しながら、この曲を書いた、といわれていますから、背景は、ちょっと憂鬱ですが、彼独特の素晴らしい旋律と、伴奏に現れる一定の「雨だれ」のリズムが、何ともいえない美しい光景に誘ってくれます。

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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