2024年 4月 26日 (金)

情報化を経済発展の動力に...必要なのは仕組み作り

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アマゾンやグーグルなどの勃興~隆盛が示す「効果」

   そして最も興味深かったのが、情報化の進展が雇用にもたらす影響についての分析であった。これまで組織内で、人間が担っていた情報の収集、分析、連絡といった機能が、情報化の進展とともにコンピューターに代替され、雇用を奪う結果になるのではないか、という懸念についてである。これについて、本書は、「ITはホワイトカラーを直撃する」としつつも、技術が雇用に及ぼす影響について、「雇用の代替効果(雇用を奪ってしまう効果)」のみならず、「雇用の誘発効果(新しい技術への投資需要に伴い生じる効果)」、さらには「雇用の創造効果(新しい技術の利活用によってこれまでなかった全く新しい経済活動が創出される)」も現れる、とし、「代替効果」の方は早く現れるが、「誘発効果」や「創造効果」は後にならないと現れないとし、長期的な分析が必要、とする。

   「代替効果」については、19世紀のイギリスでの機械打ち壊し運動(ラッダイト運動)がその顕著な例として想記される。そして、「誘発効果」「創造効果」については、産業革命によって、その後勃興した鉄鋼業や鉄道業の隆盛が挙げられる。今日、IT産業の進展は、確かに企業内のリストラを生み、社内での事務機能を、場合によっては社外に外注するなどの分業を進展させている。他方で、今では世界的に有名なアマゾンやグーグル、フェイスブックといったネット関連企業は、情報化が加速し始めた1990年代初頭には存在していなかった。「創造的破壊」とも言われるそのプロセスは、これまでの発展プロセスが連続しているものではなく、そこの断絶があり、一時的なレイオフ等のマイナス効果を生み、その後、思いもしなかった全く新しいタイプの雇用を創造する、ということである。そこに、我々は情報化の進展に希望的な観測を見いだすことができる。

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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