日本で「ノーベル賞」に最も近い賞はどれか  「文化勲章」?「朝日賞」?「学士院賞」?

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   2015年のノーベル賞を受賞した大村智・北里大特別栄誉教授、梶田隆章・東京大宇宙線研究所長は、ともに過去に「朝日賞」や「学士院賞」を受賞していた。

   日本でどんな賞を受賞していると、「ノーベル賞に最も近い人」になるのだろうか。

   日本人のノーベル賞受賞者はこれまでに24人。これだけ増えてくると、一般の人にとっては、そんな人がいたの? と驚くことも少なくない。しかし、いずれもそれぞれの専門領域ではよく知られた人たちだ。専門分野の賞はもちろん、すでに国内の大きな賞を受賞していることが多い。

文化勲章はノーベル賞の後からもらうことが多い

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   代表格は「文化勲章」。科学技術や芸術などの文化の発展や向上に大きく貢献した人に贈られる。1937年創設。湯川秀樹氏をはじめ、これまでに8人が、ノーベル賞が決まる前に文化勲章を受章している。朝永振一郎氏、川端康成氏らも、「先に文化勲章」組だ。

   しかし近年は、ノーベル賞が10月上旬に発表になった後に、それを受けて10月末、その年の文化勲章受章者として発表されるケースが多い。いわば「追加」組だ。今年の梶田氏、大村氏などもそのパターンだ。通常、受章者は毎年5人だが、ノーベル賞受賞者を追加した場合は、人数が増える。

   そのほか伝統のある大きな賞で、ノーベル賞を輩出しているのが「朝日賞」だ。朝日新聞社が1929年に創設。毎年、元日に発表される。受賞者は例年5人前後。これまでに、13人のノーベル賞を生んでいる。最近では大村、梶田両氏のほか、小柴昌俊氏、山中伸弥氏、赤崎勇氏、下村修氏、中村修二氏、益川敏英氏、小林誠氏などがノーベル賞の前に受賞している。

   朝日賞→文化勲章→ノーベル賞というパターンも目立つ。たとえば朝永氏は、46年朝日賞、52年文化勲章、65年ノーベル賞。利根川進氏は81年朝日賞、84年文化勲章、87年ノーベル賞。野依良治氏は92年朝日賞、2000年文化勲章、01年ノーベル賞だ。

「ダブル受賞」でノーベル賞を心待ちに

   朝日賞は、各界からの推薦をもとに、学識経験者を交えた選考委員会が審査・選定する。この「各界からの推薦」で上がってくる候補者が膨大な数になるという。そこからさらに綿密な事前調査をしてジャンルごとに有力候補を絞り込んでいく。幅広く網掛けしているので、ノーベル賞の対象になるような人はたいがい、朝日賞の有力候補者として把握されることになるという。

   このほか有力な賞としては「日本学士院賞」がある。学術面で特にすぐれた論文や著書、研究業績を対象に100年余の歴史を持つ。毎年9人前後に授けられる。日本の学術賞としては最も権威ある賞だ。

   受賞後にノーベル賞をもらった人数は、朝日賞と同数の13人。ただし、朝永氏、江崎氏、小柴氏、山中氏、野依氏、梶田氏など7氏は、朝日賞の方が先行している。一方、湯川秀樹(学士院恩賜賞)、福井謙一氏ら3氏は学士院賞のみ。大村氏ら3氏は学士院賞が先行しており、朝日賞とはほぼ互角の闘いだ。

   もっとも、毎年の受賞者数は、学士院賞が朝日賞の約2倍。理系に限ると、学士院賞が毎年7~8人に対し、朝日賞は2人程度。したがって、ノーベル賞の受賞確率は朝日賞の方がはるかに高い。

   ちなみに、このところ毎年のようにノーベル賞の有力候補として話題になる人――作家の村上春樹氏や、分子生物学の森和俊氏はいずれも朝日賞を受賞している。免疫学の坂口志文氏、物性物理学の十倉好紀氏、細胞生物学の竹市雅俊氏、生物学の大隅良典氏、光電気化学の藤嶋昭氏など、すでに朝日賞と学士院賞(恩賜賞)の両方を受賞している人は20人余。なかでも免疫学の岸本忠三氏、電子顕微鏡学の飯島澄男氏、分子生物学の柳田充弘氏、医化学の本庶佑氏らは両賞に加えて文化勲章も。来年度以降のノーベル賞では引き続き目を離せない人たちだ。

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