2019年 7月 20日 (土)

石原慎太郎著『天才』、65万部超えのベストセラー 田中角栄元首相は「名誉回復」! 本当か?

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   評論家の立花隆氏から「金脈」を追及され、ロッキード事件で逮捕・有罪となって、晩年は「闇将軍」を余儀なくされた田中角栄元首相(1918~1993)。このところ、汚名返上、名誉回復の機運が高まっている。きっかけは石原慎太郎氏の小説『天才』(幻冬舎、2016年1月刊)だ。

    生い立ちの苦労や政治家としての成功と挫折...元首相がモノローグの形で自らの人生を振り返る異色の自伝的小説だ。もちろんロッキード疑惑は全否定。すでに65万部を超えるベストセラーになっている。雑誌などでも元首相を持ち上げる「角栄特集」を見かけることが増えてきた。一方、ネットでは称賛ばかりではなく、『天才』への批判も出ている。

  • 石原慎太郎氏の小説『天才』(幻冬舎、2016年1月刊)
    石原慎太郎氏の小説『天才』(幻冬舎、2016年1月刊)
  • 大下英治著『田中角栄 巨魁伝』(朝日文庫)
    大下英治著『田中角栄 巨魁伝』(朝日文庫)
  • 別冊宝島『田中角栄 心を打つ話』
    別冊宝島『田中角栄 心を打つ話』
  • 佐藤昭子さんの『私の田中角栄日記』(新潮社、2001年版)
    佐藤昭子さんの『私の田中角栄日記』(新潮社、2001年版)
  • 早坂茂三氏の『田中角栄 頂点をきわめた男の物語』(PHP文庫』)
    早坂茂三氏の『田中角栄 頂点をきわめた男の物語』(PHP文庫』)
  • 立花氏の『田中角栄研究 上』(講談社、1976年)
    立花氏の『田中角栄研究 上』(講談社、1976年)
  • 立花氏の『田中角栄研究 下』(講談社、1976年)
    立花氏の『田中角栄研究 下』(講談社、1976年)
  • 早野透・元朝日新聞編集委員による『田中角栄――戦後日本の悲しき自画像』(中公新書、2012年)
    早野透・元朝日新聞編集委員による『田中角栄――戦後日本の悲しき自画像』(中公新書、2012年)

執筆は「政治に関わった者としての責任」

   石原氏は、かつては田中元首相の金権政治を鋭く批判する側だった。それが逆に評価する側に回ったところが『天才』のミソだ。小説と銘打っているが、中身は元首相本人が語る「回顧録」のスタイル。石原氏が田中元首相に成り代わって書いた「衝撃の霊言」だという。

   「高速道路、新幹線、飛行機のネットワーク...私たちが生きている現代を作ったのは田中角栄だ」。石原氏は朝日新聞のインタビュー(5月4日)でそう力説している。『天才』のあとがきでは、「アメリカという外国の策略で田中角栄という未曽有の天才を否定し葬ること」は絶対に許されないと力を込める。そして「政治に関わった者としての責任でこれを記した」と執筆の理由を説明している。

   『天才』がベストセラーになったことで雑誌などでも「田中角栄」がよみがえっている。かつて立花氏による「田中角栄研究―その金脈と人脈」(1974年11月号)などで批判の急先鋒だった月刊誌『文藝春秋』は、2016年5月号で「日本には田中角栄が必要だ」と特集。『週刊現代』の5月23日発売号は「ニッポン経済大復活! 田中角栄なら、こうする」と期待をふくらませる。

   単行本では5月6日、朝日文庫で大下英治著『田中角栄 巨魁伝』。このところ元首相礼賛本を出し続けている宝島社は5月26日、新たに『田中角栄 心を打つ話』。側近で金庫番と称された佐藤昭子さんの『私の田中角栄日記』(新潮文庫)も5月30日に復刊した。6月3日にはPHP文庫で早坂茂三氏の『田中角栄 頂点をきわめた男の物語』も。

   なぜ今「田中角栄」なのか。元サンデー毎日編集長の牧太郎氏は、毎日新聞サイトの「毎日フォーラム」でこう語る

「若者は低所得が理由で結婚できない。格差は広がる...今、 なんとも妙ちきりんな『閉塞感』に包まれている。このままでは、日本は? そんないら立ちが『だから、今、田中角栄なのだ』という気分に重なっているのだ。知恵、決断の政治力、それ以上に日本人は『角栄のオーラ』を今、感じてみたいのだ」
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