2024年 4月 26日 (金)

「黄金のトイレ」NYに出現 個室でしっかり用が足せて大人気

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   何事にも驚かないニューヨーカーが、現代美術のコレクションで世界的に有名なグッゲンハイム美術館に先週末、登場した黄金のトイレに度肝を抜かれている。この美術館は建物を建築家のフランク・ロイド・ライトが設計したことでも知られている。

ニューヨークのゲッゲンハイム美術館に現れた「金トイレ」(同美術館のHPから)
ニューヨークのゲッゲンハイム美術館に現れた「金トイレ」(同美術館のHPから)

用を足した瞬間、前例のない「快感」が

   18金製のトイレはイタリアの著名な彫刻家マウリツィオ・カテラン氏(55)の作品。美術館5階の公共トイレの一角に設置され、来館者は個室の中でしっかり用を足すことができる。作品は「アメリカ」と名付けられ、作者は世界に広がる経済格差の象徴の意味を込めたという。

   れっきとした美術館の展示作品だが、トイレの個室スペースに専門の職人によってしっかり据え付けられ、きちんと水も流れるので、通常のトイレとして完璧に利用できる。美術館のHPによると、この作品を担当した学芸員は「まぎれのない価値を持つものへの前例のない利用機会。美術館では『触らないで』と絶えず言われるが、現代美術の一流アーティストの作品を独り占めできる絶好の機会です」とPRしている。

   黄金のトイレは来館者に大人気で、トイレを利用するのに常時一時間待ちの行列ができているほどだという。

   「作品展示」の事前公開を取材したニューヨーク・タイムズの美術担当記者は作者から実際に使ってみるよう促された。個室の扉を閉め、用を足した時の感想を「作品で用を足したのはまったく初めての経験だ。(この作品は)使っているときが一番輝き、まぶしすぎるように見え、水を流すと新たなポストモダン芸術の高みに達するように思えた」と戸惑いながらも、前例のない「快感」と興奮を交えて伝えている。

   同紙によると、便器のすごく重いふたを閉めて手を洗ったあと、待ち受けた作者にインタビューすると、カテラン氏は「(彫刻を置く)台座の上でもギャラリーの中でもなく、それが必要な人のために個室の中にあるのはとてもいいこと」と話したという。

維持管理態勢も万全、警備員常駐、掃除は15分置き

   英国の公共放送BBCは、イタリア・ミラノ在住のカテラン氏の父親はタクシー運転手だったといい、「世界で広がる一方の経済格差に触発され、今年初めこのアイデアを思いついた」と答えたという。「アメリカ」という作品名には不動産王トランプ氏が共和党の大統領候補になるなどアメリカの格差の現実に対する異議の気持ちがこめられているに違いない。そういえばトランプタワーやトランプホテルなどトランプ氏が所有するビルやホテルには金ぴかの装飾が数多く使われている。

   米国の経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、18金でできたトイレの価値は200万ドル(約2億円)以上もすると伝えている。美術館は明らかにしていないが、この作品は篤志家が美術館に寄付したようだ。いたずらされたり盗み出されたりすることのないよう警備員が常時、トイレの前に立ち、利用者はトイレに入る前に持ち物をすべて台の上に置き、用を足す仕組み。利用のたびに警備員がチェックし、異変がないことを確かめる。流す水も18金の成分に影響を与えないよう、有害成分は取り除いているという。いつも金ぴかの状態を保つため、清掃作業員が15分おきに入るなど維持管理態勢は万全だ。

    トイレは美術館の通常入館料25㌦(約2500円)を支払うだけで利用できる。もの珍しさから長い行列をつくるニューヨークの人たちだけでなく、いずれ海外からの観光客にもグッゲンハイム美術館の「超目玉の作品」として大人気になりそうだ。

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