2024年 5月 4日 (土)

半沢直樹と池上彰さんも向きあった「左遷」の日本的メカニズム

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若いうちはまだいいが・・・

   それでも若いうちは、まだいいのかもしれない。人事上の配慮や本人の過信である場合もあるし(なお、本書はこうした場合についても興味深い分析を加えているが紙幅の関係上ここでは言及しない)、何よりもたいていの場合は再チャレンジが効く。しかし、全員がトップになれないピラミッド型組織では、誰もがいつかは、本当に「左遷」される時を迎える。本書では、そうした時の振る舞いについても筆が及び、ジャーナリストの池上彰さんの例を挙げる。

   池上さんは、本来報道畑を希望していたが、あるとき報道局長から「週刊子どもニュース」のキャスターへの異動を告げられる。池上さんは、解説委員への異動希望を出しており、当初はこの人事を望んでいなかったとのことである。しかし、このことが「難しくなりがちな社会の出来事をわかりやすく噛み砕いて伝える」専門家として大活躍するきっかけを作ることになるのだから、世の中分からない。本意ならざる処遇を強いられる宮仕えの身としては、肝に刻んでおきたいエピソードである。

    筆者は梅の名所で知られる公園の近傍に長く住んでいる。左遷の地で匂い起こせよ梅の花と歌った主も、悲嘆にくれることなく、大宰府の生活を送っていたらどうなっていたのか、そんな感傷が残る読後感だった。

≪経済官庁(課長補佐級) 観音堂≫

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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