2024年 5月 6日 (月)

卓越したホスピタリティ精神の「星野リゾート」は電話応対を重視 NTTコムのサービス導入を決めたわけ

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   スマートフォンの出現は人々のコミュニケーションのスタイルを大きく変えた。しかしビジネスにおける電話の重要性は今も昔も変わらない。FAX、メール、ウェブサイト...と通信手段は多様化しても、主役はやっぱり電話だ。単純な受付業務は自動応答に置き換えられるにしても、その分だけ電話のやり取りは濃くなる可能性がある。

   日本を代表するリゾート運営グループの星野リゾート(長野県軽井沢町)は、総合予約センターにおけるコンシェルジュ業務について、スタッフが在宅で電話応対できる環境を構築し、2016年7月に運用を開始した。

  • NTTコミュニケーションズの「Arcstar Smart PBX」を導入した星野リゾート
    NTTコミュニケーションズの「Arcstar Smart PBX」を導入した星野リゾート
  • 星野リゾートの総合予約窓口の仕組み
    星野リゾートの総合予約窓口の仕組み
  • NTTコミュニケーションズの「Arcstar Smart PBX」の特徴
    NTTコミュニケーションズの「Arcstar Smart PBX」の特徴
  • NTTコミュニケーションズの「Arcstar Smart PBX」の特徴
    NTTコミュニケーションズの「Arcstar Smart PBX」の特徴
  • テレワークマネジメントの田澤由利社長
    テレワークマネジメントの田澤由利社長
  • 「経営者と従業員の働き方に関する意識調査」(クリエイティブサーベイ調べ)
    「経営者と従業員の働き方に関する意識調査」(クリエイティブサーベイ調べ)
  • NTTコミュニケーションズの「Arcstar Smart PBX」を導入した星野リゾート
  • 星野リゾートの総合予約窓口の仕組み
  • NTTコミュニケーションズの「Arcstar Smart PBX」の特徴
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  • テレワークマネジメントの田澤由利社長
  • 「経営者と従業員の働き方に関する意識調査」(クリエイティブサーベイ調べ)

在宅オペレータのスキルを最大限引き出すために

   ホテル経営で最も重要なのは「ホスピタリティ精神」といわれる。相手の気持ちを察し、相手の気持ちになって考え、最適のサービスを提供する――。宿泊客と対面するフロントクラークやベル、ドアマン、コンシェルジュだけではない。声でサービスする宿泊予約やオペレータも相手に応じた臨機応変さが求められる。オペレータを一から育成した場合、一人前になるまで2年ほどかかるといわれる。一定のスキルが身に付いた後も、質問に対して速やかに回答できるよう日頃の勉強は欠かせない。

   声のサービスを重視する星野リゾートは、出産や育児、介護などの事情で総合予約センターへの出勤が困難になった社員に対して、在宅勤務を促す体制を構築していた。しかしその業務範囲はメール対応や事務作業に限られ、電話応対を在宅で実施する手段がなく、スタッフのスキルを活かしきれなかった。

   この問題を改善するために同社は、通信事業者大手NTTコミュニケーションズの提案を受けて、クラウド型PBX(Private Branch eXchange)サービス「Arcstar Smart PBX」の導入を決めた。既に導入していた「ナビダイヤル」と組み合わせることで、客からの問い合わせに在宅で応対できる仕組みを実現したのだ。

   環境構築に要した時間は約10営業日。在宅勤務者に貸与したノートPCに専用アプリをインストールし、ヘッドセットを接続するだけで、ノートPCを「内線電話としても」使えるようにした。統合予約センターにかかってきた問い合わせはソフトフォンで受信し、在宅勤務者はオフィスと変わらない環境で客とコミュニケーションすることが可能に。しかも初期費用は数万円しかかからなかった。

   新しい電話応対環境の構築にあたり運用面における配慮も見逃せない。それは在宅勤務者の着信を優先したことだ。一般にコール量は曜日や時間帯によって差が大きい。在宅ワークの報酬を仕事量に応じて決めるとしたら、サポートに回った場合の収入は不安定になりがちで労働意欲もそがれてしまう。十分な業務量を提供することは優秀な人材の定着につながる。NTTコミュニケーションズのナビダイヤルにはACD(自動分配)機能があり、在宅勤務者が対応中で電話に出られない場合に限り、統合予約センターのスタッフが応対するようになっている。

個人のスマホにも導入可能

   Arcstar Smart PBXはスマートフォンにインストールして使うこともできる。日本初のテレワーク専門のコンサルティング会社である「テレワークマネジメント」(東京都千代田区)の場合、田澤由利社長が北海道北見市在住で、社員のほとんども在宅勤務。東京オフィスに出社するスタッフは一人か二人しかいない。それで仕事が回るのか不思議に思う人もいるだろうが――。

「ビジネスで最も重要な『電話によるお客様対応』は、社員が会社に来ているのと同様です。東京のオフィス(03局番)にかかってきた電話を、サポート担当の在宅勤務に内線で転送することができます。その在宅勤務者から、さらに技術担当に回すことができます。在宅勤務者が使用している電話は、通信費用は会社持ちですが、個人使用のスマートフォンです。2015年春から導入している、Arcstar Smart PBXのおかげです」

   テレワークとは「テレ」(遠い、遠距離の)と「ワーク」(働く)が組み合わさった言葉で、「ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義される。1週間に8時間以上このような働き方をしていればテレワーカーであるとされ、在宅勤務だけでなく、営業マンがオフィス以外の場所でICTを活用して仕事するケースも含まれる。

   田澤由利社長は「テレワークの必要性を認識していない企業は大変なことになる!」と警鐘を鳴らす。

「少子高齢化による『生産年齢人口の減少』、『女性の社会進出』、『介護離職の増加』、どれをみても、これからの日本は、『朝から晩まで、決まった時間に、会社に来て仕事をする』という、これまで当たり前だった働き方を、多くの人ができなくなります。これまでの常識のままの企業は、会社を支えてきてくれた管理職社員を失い、新しい人を採用しようとしても膨大なコストがかかる上、『この会社で働き続けたい』と願う人材が集まらなくなるのです。この危機感を認識し対策を講じる企業は、テレワークの導入に大きく動いています」

   Arcstar Smart PBXの導入は社員間の連携強化にもつながる。田澤由利社長がコメントしたように、通信料が社員負担ではなく会社負担になることで不満が解消され、気軽に連絡が取り合えることから通話の回数も増える。ウェブ掲示板のような「見える」コミュニケーションではやり取りしにくい相談事も、電話ならじっくり話し合える。

   内線電話の重要性は、インターネット調査会社のクリエイティブサーベイが16年11月1日~11月5日の5日間に実施した「経営者と従業員の働き方に関する意識調査」によっても裏付けられる。

   この調査は従業員規模50~500人の企業経営者・役員300人および従業員300人を対象に実施された。「あなたの会社でテレワークを導入する場合、以下のそれぞれのシーンで重要だと思う社内コミュニケーションツールをすべて選択してください」という問いで、以下の3つのシーンで最も票を集めたのは「電話」だった。

  • 難しい問題について相談したい時...電話が46.7%
  • 同僚と雑談したい時...同43.1%
  • 上司の意見が欲しい時...同45.1%
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