朝鮮半島の緊張高まる今こそ読んでほしい! 日本からの武器輸出はどうなる?

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   朝鮮半島の緊張が高まる今こそ、注目したい本がある。『武器輸出と日本企業』(望月衣塑子著、KADOKAWA 800円+税)だ。

   アメリカと北朝鮮の緊張が2017年4月、5月と極度に高まっている。北朝鮮が5月14日に長距離ミサイルの発射に成功すると、日本の迎撃態勢はどうなっているかとテレビのワイドショーは恐怖心をあおり立てる。

   本書は、東京新聞社会部の望月衣塑子記者が、ほとんど知られることのなかった日本の武器(政府、防衛省は「防衛装備品」と言い換える)業界でいま起きていることを報告した貴重なレポートである。

  • 「武器輸出と日本企業」(望月衣塑子著、KADOKAWA)
    「武器輸出と日本企業」(望月衣塑子著、KADOKAWA)

横浜の武器展示会は大盛況

   書き出しで驚かされた。2015年5月、パシフィコ横浜で海上防衛についての大型の武器展示会が国内で初めて開かれ、日本企業13社が参加、世界39の海軍幹部と防衛企業125社、計3795人が詰めかけたとあるのだ。今年2017年6月には千葉の幕張メッセで第2回が開催されるという。武器の輸出と輸入の商談がコミケやコンサートが開かれる会場で、にぎにぎしく行われているという事実に衝撃を受けた。

   2014年4月の第二次安倍内閣による武器輸出の47年ぶりの大転換(民主党政権下の野田内閣時代に露払いが行われていた)、2015年10月の防衛装備庁の設立など、戦後の「武器輸出三原則」が変質してきた経緯をつづり、前のめりになる防衛省とおそるおそるついて行く企業の実情を紹介している。

   今年4月に日本学術会議の検討委員会は「科学者は軍事的な研究を行わない」とする過去の声明の基本方針を「継承する」とした新たな声明案をまとめた。政府が2013年、両用技術の研究を推進する防衛大綱を閣議決定し、助成制度への応募の可否について大学などで混乱が生じたため、声明の見直しが必要か検討していたのだ。ここで言う「両用技術」=デュアルユース(民生と軍事の両用)の実態についても、本書はロボット研究などさまざまな領域で、推進されている現状を紹介している。

   国際情勢が緊迫しても、日本には関係ないと思っているうちに、「武器」をめぐる国内の政府、大学、企業はずっと先に行っていることを思い知らされた。口の重い関係者からインタビュー、証言を引き出した著者の力量に感服した。

   アメリカから最新の防衛技術を導入することによって、日本を守ろうという素朴な愛国心を多くの人は持っているだろう。しかし、アメリカの軍関係から日本の大学などにすでに多くの研究資金が流れていることも本書は明らかにしている。ロボット=無人兵器への道は、どこまでが民生でどこからは軍事なのか判然としない世界に我々は生きているのだ。

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