「西郷どん」の謎を解き明かす 上野の銅像は本人と似ていない!?

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   今年(2018年)のNHK大河ドラマは西郷隆盛を描く「西郷(せご)どん」。薩摩の下級藩士から明治維新の立役者として成長していく物語だ。国民的なヒーローとして多くの人たちに親しまれているが、その生涯は幾多の謎に包まれている。今回はテレビを楽しむ手助けになればと、西郷の写真のミステリーや遺訓集、錚々たる文豪の傑作を集めたアンソロジーなどを紹介したい。

   J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチhttp://www.j-cast.com/bookwatch/)」でも特集記事を公開中。

現存の写真がないというミステリー

『西郷の貌 新発見の古写真が暴いた明治政府の偽造史』(著・加冶将一、祥伝社)
『西郷の貌 新発見の古写真が暴いた明治政府の偽造史』(著・加冶将一、祥伝社)

   西郷さんといえば、東京・上野公園の犬を連れた銅像を思い浮かぶ。だが、これをみた糸子夫人が「うちの人はこげんなお人じゃなかった」とショックを受けたという話がある。本当はどうだったのか。

   『西郷の貌 新発見の古写真が暴いた明治政府の偽造史』(著・加冶将一、祥伝社、1944円)は、歴史作家の主人公が西郷隆盛の写真の謎を追うというストーリーだ。「島津公」とされる人物を中心に13人の侍がレンズを見据えている。そのなかのひときわ目立つ大男が西郷ではないのか。肖像画はあるが、写真嫌いの西郷の写真は現存しないといわれている。もし本人だったとしたら、いつ、なんのために撮影されたのか。

   進めるうちに西郷と公家の関係、武器商人・グラバーの影・・・次々と驚愕の事実に直面する。

遺訓集をまとめたのは庄内藩の人たちだった

『新版 南洲翁遺訓』(翻訳・解説:猪飼隆明、KADOKAWA)
『新版 南洲翁遺訓』(翻訳・解説:猪飼隆明、KADOKAWA)

   「敬天愛人」という言葉が額縁に入れて飾られていることを見たことがあるだろう。「天を敬い、人を愛する」。西郷隆盛の遺訓の代表のひとつだ。

   『新版 南洲翁遺訓』(翻訳・解説:猪飼隆明、KADOKAWA、691円)は、そんな西郷の遺訓集、41条と追加2条すべてを原文、現代語訳、くわしい解説で紹介している。人として踏むべき道や、為政者のあるべき姿、人材登用、外交、財政など心構えを説く。

   これを本にまとめたのは郷土の薩摩ではなく、戊辰戦争で鎮圧された庄内藩(現・山形県)の人たちだ。厳罰な処分を覚悟していたが、西郷の寛大な処分にいたく感銘し、鹿児島を訪れて教えを受け、後世に伝えようと刊行したものだ。酒田市には遺徳をたたえる南洲神社があり、隣の鶴岡市は西郷との縁で鹿児島市と兄弟都市を結んでいる。

文豪が競い合う西郷アンソロジー

『英傑 西郷隆盛アンソロジー』(池波正太郎ほか、新潮社)
『英傑 西郷隆盛アンソロジー』(池波正太郎ほか、新潮社)

   『英傑 西郷隆盛アンソロジー』(池波正太郎ほか、新潮社、562円)は、西郷隆盛の青年期から西南戦争、没後の伝説までを6人の文豪が残した作品集だ。相手が「大西郷」だけに、筆者も大作家ばかり。それぞれどう描かれているか。作品と作者は以下の通り。

   (1)西郷と入水した月照の死の真相「悲恋 犬神娘」(国枝史郎)、(2)熊本城で官軍を勝利に導いた司令官夫人の活躍「谷干城夫人」(吉川英治)、(3)西南戦争の天王山・田原坂「田原坂合戦」(菊池寛)、(4)西郷の副将・桐野の熱き忠誠「賊将」(池波正太郎)、(5)薩摩軍が発行した軍票秘話<西郷札>(松本清張)、(6)西郷は生きていた?! 芥川の意外な逸品「西郷隆盛」(芥川龍之介)。

   歴史ファンにも文学ファンにも興味深い1冊だ。

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