2019年 11月 20日 (水)

イタリア・オペラの敏腕プロデューサー ミラノで驚くべき「発明」もしていた?!

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   普段は、「ある曲」にフォーカスすることの多いこのコラムですが、今日は、「人」にフォーカスします。その人物は作曲家ではありません。そして、歌手や器楽奏者・・つまり演奏家でもありません。音は1音も作ったり出したりしませんが、音楽にとっては、ものすごく重要な働きをした人です。現代で言えば、「プロデューサー」ということになるでしょうか。現地イタリアでは、「インプレサリオ」という名の職業人です。

   彼の名前はドメニコ・バルバヤ。1777年、イタリア・オペラの中心地というべきミラノに生まれた人物です。

  • 歌劇場内にたたずむバルバヤの肖像
    歌劇場内にたたずむバルバヤの肖像
  • バルバヤが発明したとされるドリンク、バルバヤーダ
    バルバヤが発明したとされるドリンク、バルバヤーダ

カフェ店員、軍隊相手の弾薬手配、そしてカジノ経営

   オペラの名プロデューサーとして名をとどろかせたバルバヤですが、彼の最初の職業は、なんとカフェの店員でした。アルバイトではなく、本職です。職務に情熱を傾けた彼は、そのミラノのカフェで、新しい飲み物、「バルバヤーダ」を発明します。どんなものだったかというと、コーヒーに泡立てたミルクを載せたもの・・・そう、現在では、これがまぎれもなく「カプチーノ」と呼ばれる飲み物の源流だ、と言われています。「バルバヤーダ」の発明だけで満足することなく、そのアレンジ系ともいえる「ビチェリン」――これはエスプレッソにホットチョコレート、そして泡立てたミルクを混ぜることなく層状に透明な小さなグラスに注ぐというものです――なども立て続けに考案し、ミラノ発の新しい飲み物として、爆発的ヒットを飛ばします。

   これで、おそらくバルバヤはある程度のお金を手にしたはずですが、次に彼が目指した仕事はオペラ・・・ではなく、軍隊相手の弾薬手配の仕事でした。時あたかもナポレオン戦争の真っ最中、弾薬は敵にも味方にも、飛ぶように売れたのです。これでさらに一財産築き、イタリアも席巻したフランス軍と仲良くなったバルバヤは、次に、フランス軍の許可が出た賭博業を管理するという仕事も始めます。現代風に言えば「カジノ経営」といったところでしょうか。

   そして、カジノがどこで行われていたかというと、なんと、オペラ歌劇場だったのです。現在のイタリア・オペラの殿堂となっているミラノ・スカラ座のカードディーラーの権利を、バルバヤは手に入れただけでなく、フランス軍の南下とともに、南イタリアのナポリにもいち早く乗り込み、「歌劇場カジノ」を取り仕切ります。

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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